今回は海の描き方について解説していきたいと思います。
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海の描き方 第一回
海の線画を描く
海だけってのも絵的にさみしいので岩とか遠くの山とかも映る構図にしました。
ちなみに、崖とか岩ですが、大きな岩とかの脇に小さい岩を2、3くわえておくとそれっぽくなります。
雲とかでも、大きな雲の脇に小さな雲がポツポツあるのと同じようなものですね。
雲といえば、今回は夏なので入道雲(積乱雲)をいれました。
海塗り始め
イケてないですね。
こんな段階で描くのを止めてしまってはいけません。
しかし、描くのをやめるなと言われても何を描き進めればいいんだって話ですよね。
ではそれを解説していきましょう!
空と海をわける
まずは、空と海が一体化してしまっているので遠くの空を空気遠近的に白くしてわけましょう。
そして、波打ち際の泡のとこを描いていきます。
海が単色で面白くないので右の画像のように明るいところを作ったりしましょう。
しかしこのように空の側が水平線付近が白い場合に海側も白くすると境界がわからなくなってしまいます。
ですからこのように水平線付近を避けて明るくしましょう。
逆に空側を暗くすれば、今度は海面側を明るくすることができます。
海に限らず絵を描くときは形が分かるようにした方が良い。
そのため海と空の両方を同色同じ明るさにはしない方が良いということです
海の波打ち際を描く
波打ち際を馴染ませます。
波打ち際の砂を濡れた色にします(ここ重要)
海っていっても水なので、浅いところは透明に下の砂が透けて見えます。
そしてそこは乾いた砂浜の色ではなく濡れた砂の色になります。
なにより乾いた砂の色は白に近い色なのでその上に白い泡を描いても見えないのです。
海の波打ち際に限らず、明るい物を描くときは後ろを暗く、暗い物を描くときは後ろを明るくしないと何を描いているのかよくわからなくなるので意図的にそのようにしてます。
理論的には↑で解説した海と空の境界を完全に同色にしないというのと同じですね。
海の遠くのほうは光ってる点を入れるのと明るいグラデを入れるぐらいで描き込みません。
遠くの波まで描き込むと画面がうるさくなるし時間もかかるので、サラッとすませてしまいましょう。
あとは、砂の色を明るくしました。
そして、空とか岩とかも描き込んでますが、そこは今までの講座があるので省略します。
ただ、こういった遠い岩なんかの場合は岩講座で解説したようなクレーター的な凹は描き込む必要ないと思います。
離れているとよっぽど大きな凹みでなければ見えないので。
海に映る鏡面反射を描く
水面に反射した岩を描くとなじみます。
これは遠景の海であれば暗めに落とした色の単色で塗ってしまってもいいと思います。
追記20191218
さらに絵の情報量を増やしたい場合は、「背景」描き方事典の湖のページで解説したように岩などを反転させて鏡像を描くという方法もあります。
色変えと馴染ませ
まずは、色がいまいちだったので岩、崖と砂浜の色を変えました。
そして、崖が海や砂浜とパッキリわかれていたのでそれを暗い色で馴染ませました。
同様に海と遠くの陸を馴染ませるために海との境を白くして馴染ませました。
海の完成
海を描くのに水面ブラシを使うのもあり
ここまでの説明のように遠景の水面などはさらっと塗ってしまってもいいのですが、近い位置などで水面の情報を増やしたいときにカスタムブラシで塗るという方法もあります。
こちらの水面ブラシも以下の『出雲寺ぜんすけブラシセット』に入っています。
出雲寺ブラシセット_クリスタ版
出雲寺ぜんすけのブラシプリセット_Photoshop版
▲BOOTHにて販売中です。
クリスタがPhotoshopのブラシ読み込めないころに作成したのでPhotoshop版とクリスタ版がありますが基本的に内容は同じものになります。
▼ブラシの詳細記事
…と、今まではここでこのページは終わりだったのですが……
ぜんすけ
なんと、拙著【デジタルイラストの「背景」描き方事典】の内容を途中まで公開しちゃいます!!
ここからは書籍版の解説になります。
書籍版 海辺の描き方
海は、夏のシーンに描かれることが多い背景です。夏らしさを増したいときは「入道雲」を合わせて描くとよいでしょう。
ここでは遠浅の海岸を描きます。
白い砂によって明度の高い水色からのグラデーションになっています。
作例のような砂浜ではなく、すぐに水深が深くなる海岸を描く場合はもっと暗めの青からのグラデーションにします。
01 海の色を決める
写真を参考に日本の海の色を再現してしまうと、高麗納戸のような暗い色になってしまいます。
設定では日本の海だったとしても、基本的に見栄えを優先して南国風のキレイな水の色になるようにコバルトブルーやペールターコイズで描くほうが一般的です。
02 グラデーションで海面を描く
海面と空の色が近いとNG例のように境界がわかりにくくなります。水平線近くの空が白くなるようにグラデーションを入れることで、境界をはっきりできます
03 水平線を少しだけぼかす
水平線が完全に直線だと硬い印象になるので、少しだけぼかします。水面と空のレイヤーを分けているのであれば、ボケ足の大きな消しゴムツールかレイヤーマスクを使用してぼかすように消します。
分けていないのであれば、ボケ足の大きなブラシツールで水平線を塗ってぼかします。
05 砂浜の色のグラデーションを入れる
誠に申し訳ありません!!
ここからは先は書籍での解説になりますので、どうぞよろしくお願い致します!
書籍版 水の模様の描き方
ここから解説する水の模様も僕の執筆しましたデジタルイラストの「背景」描き方事典の内容になりますが、この水の模様については株式会社セルシスの運営するイラスト漫画描き方ナビに寄稿され、すでに公開されていますので当ブログでも途中まででなく全文掲載します。
なお、この水模様の記事内容に関する著作権は当ブログ管理人である出雲寺ぜんすけが保持しています。
【01】水の模様を描く
- 適当に曲線を描いて楕円形に繋げて描きます。
正確な楕円である必要はなく、ウネウネした線で適当にブロック分けされていればOKです。 - 最初に描いた周囲に追加していきます。
- フリーハンドでさらにウネウネっとブロックを追加していきます。
- 大きすぎるところは分割し、さらに外側に追加します。
【02】水の模様の細部を描き込む
【01】ではおおまかな流れを解説しましたので、ここでは細部について解説していきます。
- 鋭角箇所
ブロック分けを適当にしただけの状態だと、鋭い角があって曲線になっていない箇所があります。 - 鋭角部分に曲線を足し、鋭い角も曲線で構成されるようにしていきます。
- 角を白く塗りつぶします。
塗りつぶした白い部分があまり大きくなりすぎると変に目立ってしまいますので、穴を開けて分割するとよいでしょう。
【03】水の模様の線を調整する
線は均一の太さで描く必要はなく、むしろ細くなったり消えたりしているところがあったほうが見栄えがよくなります。
[消しゴムツール]で削って形を整えます。
【04】集光模様(コースティクス)とは
ここからは【03】までで解説した水模様が、いったい何を描いているのかを考えていきます。
光がガラスや水の曲面で、鋭く反射、屈折してレンズのように集められると、光の模様ができます。
これを集光模様(コースティクス)と呼びます。
光がガラスの曲面で、鋭く反射、屈折してレンズのように集められて光の模様ができる
海の集光模様の写真
水でもガラス同様に光の模様ができる
【05】集光模様は水面ではなく水底にできる
【04】のグラスの写真からもわかるように集光模様はグラスの表面ではなく、グラスを透けた光がテーブルに当たったところにできている模様です。
すなわち水で考えると、水面ではなく水を通った光が水底に作った模様ということになります。
しかし、イラストでは水面の表現としてこのように描かれるのを見たことがあるのではないでしょうか?
この場合、箱と水の境界のハイライトと模様が繋がっていて、あきらかに水面として描かれています。
このような絵を見かけていたため、筆者も以前は下図のように波で高くなり細くなったところでの光の反射によるハイライトが描かれているものかと漠然と考えていました。
しかし、水の模様を集光模様と考えるのであれば話は変わります。
集光模様は曲面による屈折や反射によって光が集められてできる模様です。
このように反射の集光模様は壁などの面にできる模様となり、屈折の集光模様は水底にできる模様ということになります。
集光模様は水面にはできないのです。
【06】集光模様の見える視線の角度
集光模様が水面ではなく水底の模様だということは、集光模様が見えるためには
「底が見える水深で俯瞰など水底の見える視線の角度」である必要がでてきます。
すなわち、水深が浅くて俯瞰の絵では集光模様が見えやすく、水深が深くて横から見たような絵では見えにくいのです。
【07】離れた位置にできる集光模様は繋がらない
集光模様は水底の模様であるということは、例えば人物が水に浸かっている状態を描く場合では、腕などにできる集光模様と水底にできる集光模様は距離が違うためつながらないということです。
▲模様がつながっているので、
水面の表現として描かれている
▲模様がつながっていないので
水底と側面の表現として描かれている
解説の都合でこの図では消していませんが、本来ならこの立方体の影になる部分は光がさえぎられるので、立方体の落影の部分にある水底の集光模様は描かないほうがよいでしょう。
【08】水の模様と波紋を描くときの注意点
水底なのか水面なのかといったことを考えずにただ水の模様をテクスチャのように貼り付けておきさえすればよいと考えて描くと、違和感のある絵になってしまいます。ここでは矛盾のある例を紹介します。
下図のNG例では模様が箱の側面と水底で分かれてないので、水の模様を水面にあるものとして描いていることがわかります。
しかし、波紋という水面の表現は水面の模様に影響を与えずに描いてあります。
水の模様と波紋を同時に使いたいのであれば、模様は水底として描く必要があるのです。
▲水面の模様と水面の波紋がそれぞれを無視して同時に描かれている
▲模様が水底として描かれているので水面の波紋と矛盾しない
【09】水の模様と水面の明暗の注意点
水面の明るい箇所と暗い箇所では水面の波による角度の違いがあるはずですが、
NG例では水面にある模様が完全な平面に描かれたようになっているので違和感があります。
水底の集光模様として描かれていれば水面の凹凸との矛盾はありません。
▲水面の模様が水面の凹凸を無視している
▲水の模様が水底として描かれているので水面の凹凸と矛盾しない
【10】水の模様は集光模様なのか泡なのか
ここまで水の模様は集光模様であるとして解説してきました。
しかし、それでは下図のような水面にある模様として描いてある絵が説明できません。
これは集光模様と同じ描き方ですが、光の模様ではなく水面に浮かぶ泡を描いていると考えるとつじつまが合います。
水の模様と同じ形の落影ができるのも納得です。
▲水面に模様があり、影が落ちているのでこの模様は泡
水の模様はテンプレ的な記号のように使われているので、描いている人もそれが集光模様なのか泡なのかを意識せずに描いていることもあるのではないかと思いますが、悩んだときには「水底に描く場合は集光模様、水面に描く場合は泡」と意識するとよいでしょう。
【11】泡の影で水深を表現する
水面の泡とその落影を入れることで水底までの深さを表現できます。
やり方は水面の泡レイヤーを複製して色を暗く変えてズラすだけです。
水面の泡から落影をずらす距離によって水深が表現できます。
近いほど浅く、離れるほど深くなります。
▲泡から影までが近いと水深は浅い
▲泡から影までが遠いと水深は深い
水面模様未統合PSD 公開
この模様が上手く描けないぞという場合のために、この水面模様未統合PSDファイルをFANBOXで支援者向けに公開開始しました!
未統合 ダウンロードはこちら。
海イラストの定番植物ヤシを描こう_書籍版 ヤシの描き方
ヤシは、夏や南国のイメージを表現するのに有用なので、「海」と合わせて描くことが多い植物です。また、ヤシの葉が描けるとテーブルヤシなど観葉植物を描く場合にも役に立ちます。
観葉植物で使われる小さなものから30mほどの高さになるものまで様々な大きさがあります。
「葉」と同様にヤシの葉も「横向き」と「正面」の2種類でとらえて解説します。横向きの葉、正面の葉、幹が描ければ、ヤシの木を描くことができます。
【01】ヤシの葉を描く
ヤシの葉は「羽状複葉」という葉軸の左右に小葉が羽のようにならんでいる形態をしています。
「横向き」と「正面」の2種類の葉の角度を変えて並べることで描いていきます。下向きの葉も上向きの葉も、角度を回転することで正面の葉としてほぼ同じ描き方ができます。正面の葉の微妙な角度変化に関しては【05】で解説します。
【02】近景の小葉を描く
- STEP
葉軸を描く
- STEP
小葉を描く
近景の場合は、図のAように葉軸から外側に向かって抜きのできるブラシで線を引くことで小葉を描き込みます。小葉同士の間隔は、ほんの少し隙間があるぐらいにします。
【03】遠景の小葉の描く
さらに詳細に葉の形を描きたい場合や、ブラシでうまく描けない場合にはパス(ペンツール)で葉を一枚一枚範囲選択して描くのが有効です。
遠景の場合は、隙間を開けずに詰めて(細部を簡略化して)小葉を描きます。
【04】葉の塗り方
誠に申し訳ありません!!
ここからは先は書籍での解説になりますので、どうぞよろしくお願い致します!
みんなの海の描き方まとめ
Twitterなど皆がSNSでたくさん描き方を発信してくれているのですが、SNSでは見逃すと流れてしまいますよね。
僕が見かけたものをこちらにまとめてチェックしやすくしました。
紹介させていただいた方々をTwitterでフォローしていると最新の情報が見れますので要チェックです!
tomatoさんの海の描き方
tomatoさんの pixivページ:pixiv.net/users/30817746
パルミーの海や水の背景の描き方
しゃかさんによるパルミーにある講座です。
海の中のイラストを描く場合に参考になる水中表現。
自然物背景イラストの描き方 | |
空と雲の描き方 | 夜空(星空)の描き方 |
月の描き方 | ランダム感_自然物の描き方基礎 |
夕空の描き方 | 曇り空の描き方 |
岩の描き方 | 海の描き方 |
花畑の描き方 | 木の描き方 |
山の描き方 | 草原の描き方 |
その他背景の描き方 | |
電柱の描き方 | 魔城背景の描き方 |
逆光シルエット背景の描き方 | ビル群背景イラストの描き方 |
写真トレース背景の描き方 | |
室内(部屋)背景の描き方 | 室内背景添削講座 |
▼当ブログ以外のもたくさんの背景描き方サイトがありますのでそれらをご紹介。
≫背景の描き方イラスト講座サイトまとめ
この世のすべての背景描き方サイトを集めるかのごとくまとめた記事です。