室内背景添削講座【実例に学ぶパースペクティブの注意点】

背景CGテクニックガイドを読んでくれたSさんという方から
「自分が描いた背景を見て欲しい」とメールをいただきました。

当たり障りない感想を言ったりするだけなら簡単ですが、僕に見て欲しいということは、おそらくもっと上手く描くためにどこを直せばいいのかをアドバイスして欲しいということだろうと思いました。

しかし、当サイトは背景講座サイトではありますが、基本的にマンツーマンでの添削などはしていません。

なぜかといいますと、具体的にどこをどう直すと良くなるかという指摘をするのは時間がかかりますが、個人指導ではその方一人だけのお役にしかたてないからです。

とはいえ、僕の本を読んでがんばって描いている方にアドバイスしてあげたいですし、Sさんと同じところで上手く描けずに困っている方もいるのではないかと思います。

実例に学ぶパースペクティブの注意点

そこで、マンツーマンではなく公開での添削ならば多くの方に役に立つ形で伝えられるのではないかと思い、Sさんに送っていただいた絵の可変およびサイトや書籍などでの公開を承諾していただき、添削背景講座をすることにしました。

というわけで、こちらが今回Sさんが描いてくれた背景です。

Sさんが描いてくれた背景

 背景を最後まで完成させること自体、途中で飽きてやめてしまわない忍耐力も必要ですから、こうして完成させたこと自体すごいです。

ご苦労さまでしたと声を大にしていいたいですね。

それではさっそく添削を始めたいと思います。

【修正ポイント1】 アイレベルより上にある物が俯瞰になっている

カップなど円柱形の物は EL(アイレベル)の線と同じ箇所は直線になりますが、それより上は内側の見えない山なりの弧になり、アオリ気味になります。

解説図

このように直立しているカップの内側が見えるのはアイレベルよりも下にある場合のみです。

円柱のアイレベル解説図
例外
斜めになっている場合は例外的にアイレベルより上でも内側が見えます。

このようなスタンドで斜めになっている物や人物が手に持って傾けている場合などです。

スパイスボトルスタンド6Pスパイスボトル&ラック

【修正ポイント2】食器棚の中が傾いているように見える

 解説図02

消失点に向かうパースに合わせてしっかり描いているのになぜこのようになってしまうのか?

これはパースの本などを読んでそのとおりにしたはずなのになぜか
うまくいかないという、悩ましいポイントなのではないでしょうか。

この原因は奥行が長すぎることです。

解説図3

テレビボードと食器棚の奥行は同じぐらいで描かれていますが、このように部分的に見るとわかりにくいですが引いて画面全体を見るとかなり奥に長い設定で描かれているように見えます。

それによって、一般的な長さでイメージしたよりも上面が見える範囲が多いため俯瞰気味に見えるのです。

棚の奥行が広いと皿やグラスなど中にある物もそれに引きづられてしまいがちです

パースをとっているはずなのに違和感がある場合は奥行の長さなど、物の大きさが適切であるかを再確認してみるといいでしょう。

 【修正ポイント3】円をパースに合わせる

  これら赤丸で囲った円柱状の物が本来よりも手前に向いていて俯瞰のような円の見え方になっています。
(ローテーブルの上にあるカゴの円形は問題なし)

 手前に傾いて見えるという意味では前回の【修正ポイント2】と似た修正点です。
出窓の観葉植物はアイレベルにかなり近い位置にあるので、特に気になります。

(アイレベルに近いほど細い楕円になり、アイレベルの位置では直線となるため)
円を縦に潰す

アイレベル付近など直線に近い楕円形にしなくてはならない位置です。

しかし、円であるという認識があるため、円形を維持しようと間違った補正を脳が勝手にしてしまうのでとてもやりがちなことです。

こうならないためにはまず、円形を描くときにはこのようなミスが起きやすいことを認識して、カンだけで円の形を決めずに円形がパースに合っているかを確認する必要があります。

パースの確認

実際にSさんの描かれた鉢がパースにあっているかを確認してみます。

消失点からのパースの線正方形に円

消失点からのパースの線を表示した状態です。
水色の点はパースの線で囲った四角の中心部分です。

右の平面図のように円が水色の点に接していなくてはならないのですが消失点の位置を移動しないと鉢の円形には合わせることができません。

このように鉢の円に合う消失点の位置を探すとかなり上にありました。
絵に合わせて消失点を移動

消失点の位置
床に垂直に立っている物は部屋のアイレベルと同じ高さに消失点がなくてはなりませんが、この鉢の円形の消失点はアイレベルから離れているのでパースに合っていないことなります。

鉢の円の修正方法

円を縦に潰す

このように鉢の円形を縦に潰して、より細い楕円形にすることで部屋のパースに合わせることができます。

【修正ポイント4】ラグのテクスチャが変形されていない

ラグのテクスチャが変形されておらず、平面のまま貼っただけになっています。

ラグのテクスチャ

点線のようにラグの柄の円が正円になっています。

これは柄によってはパッと見た瞬間気が付かないかもしれませんがこうしたことが違和感の原因となりますので変形の手間を惜しまないようにしましょう。

テクスチャを変形 ラグのテクスチャ1変形

テクスチャを編集→自由変形でテクスチャをラグの形に合わせて変形します。

スマートオブジェクト

スマートオブジェクト1
スマートオブジェクト2

ちなみに、このテクスチャの変形をする前にテクスチャをスマートオブジェクトにしておくと、後から平面のテクスチャを変えるだけで再変形しなくてもラグの柄を変えることができるようになります。

【修正ポイント5】フローリングのパースを修正する


見えにくいかもしれませんがフローリングの板の境の線がパースを無視しています。

ラグは消失点からのパスと同じ方向に向かっていますが、床のラインは別の方向に向かっています。

このように他と平行であるはずの線のパースがズレていると違和感を感じさせやすいので注意が必要です。

【修正ポイント6】出窓の形台形型をパースに合わせる

これまで、修正点を色々と述べてきましたがこの絵で一番修正すべき点として目が行くのがこの出窓です。
窓の修正前

この上面図のように窓の形が変形しているように見えます。

この出窓は長方形ではなく台形型に奥の辺が短くなっています。

おそらく長方形ではないので描き方がわからずにカンで描いてしまったのではないかと思いますが、台形型であっても、もちろんパースを考える必要があります。

わかっていれば簡単な話で、まず長方形でアタリをとって描けば派手に間違えることはないのです。

窓の修正前
赤線が長方形のパース
この赤線で描いた長方形パースを参考に台形型に描けばいいのです。

出窓の奥行

元の絵だと出窓の奥行が長すぎたので奥行を短くしています。

奥行が長いと出窓の側面が広くなりすぎてしまいます。

【修正ポイント7】面の色の違いで形をわかりやすくする

もう一つ出窓について指摘すると、出窓の面によって明度に違いをつけたほうがいいでしょう。

同じ色だとどこまでが側面でどこからが底面なのかわかりにくくなってしまいます。

窓の修正後

こんなところで今回の添削講座の連載を一旦終了としようかと思います。
とりあえず、パースなど中心に直したほうがいい箇所を解説してきました。

今回、Sさんの描いた背景に色々と指摘してきましたが、僕が背景を描き始めたときよりもよっぽど良く描けているんじゃないかと思いますので、ぜひ背景を描き続けていただけたらなと思います。

室内の描き方

室内(部屋)の描き方【デジタルイラスト背景講座】

2008年4月27日

まとめ

  1. アイレベルより上にある物が俯瞰になっている
  2. 食器棚の中が傾いているように見える
  3. 円をパースに合わせる
  4. ラグのテクスチャが変形されていない
  5. フローリングのパースを修正する
  6. 出窓の形台形型をパースに合わせる
  7. 面の色の違いで形をわかりやすくする


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1 個のコメント

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