今回はイラストレーターになるための独学で上達する方法について解説します
色々な練習方法があって、何をやったらいいのかわからなくなってしまっているかたはこの記事は必見です!
現役で絵の仕事をしている出雲寺ぜんすけが執筆しています。
Key作品『終のステラ』に背景イラストで参加。キネティックノベルのロボット三部作の楽曲をレトロテイストアレンジしたアルバム『JUKEMATA』ジャケットイラストの“背景”を担当
終のステラ
VisualArts Co.,Ltd.無料posted withアプリーチ
≫近年のお仕事(公開可能)実績紹介
こちら以外にも実績非公開の仕事で、スマホゲームの背景などを今も毎日で描いて仕事しています。
というわけで、クリエイティブ業界で今まで生き残ってきた経験などをもとに、イラストを上達させてプロになるための3つの秘訣を解説したいと思います。
ソフトやペンタブなど道具についてや独学以外の学習方法については
▼こちらの記事でまとめています。
≫イラストレーターになる方法の全知識まとめ【現役のプロが解説】
ジャンプできる目次
イラストを上達させるための独学、初心者は何から始めるべき?
まずはよく見聞きするイラスト上達のための練習方法をリストアップしてみます。
……他にもきっといろいろとありますよね。
「プロになるためにはこれらの基礎練習を全部やらなくちゃならないんですか!?」
それは基礎練習ですから、もちろん……
・
・
・
やらなくてOKです!!
こんなことを言ってしまうと、現在やっている最中の人や指導されているかたにお叱りを受けるかもしれません。
でもやっぱりプロになるために全部の練習をやる必要なんてまったくないでんすよ。
イラスト初心者はすべての練習方法を取り組んではいけない
むしろこれらイラストの基礎練習を全部網羅してやろうと思ってたら逆にプロになれません。
もちろんこれらのイラストの基礎練習に意味がないとはいいません。
でも初心者が独学ですべての練習をこなそうとすると、確実にプロから遠ざかります。
「基礎練習に意味があるのにプロになれない」
って矛盾しているようですよね。
しかし、これには理由があります。
基礎練習を全部やってたら絵を描くのが嫌いになるからです!
プロのイラストレーターになるのに、絵を描くのが嫌いになったらダメです。
神絵師たちのなかには
「ワーカホリックなのですか!? 本当にご自愛くださいっ!!」
と思ってしまうぐらい絵を描きまくっている人もいますよね。
あれってやっぱりイラストを描くのが楽しいからだと思うんです。
描くのが楽しい→たくさん描く→上達する→描くのが楽しい
というループに入れているわけです。
だから、イラストを上達させるために一番大事なのは楽しくできる練習をすることです。
イラスト初心者の独学でおすすめの練習方法はやっぱり『模写』!?
模写は定番のイラスト上達の練習方法ですし、ドヤ顔で今さら模写を薦めてどうすんだよ……
という話ではあるんですが、それでもやはり独学方法としては王道の一つだと思います。
- 目指したい目標に向かって練習できる
- 描画力に絞った練習ができる
- セルフフィードバックしやすい
- 楽しく描ける
デッサンやその他の練習方法も意味はありますが、目指す方向によっては最初にやるには遠回りかもしれません。
僕らは練習すると、その練習したような絵を描くスキルが身につきます。
すなわちデッサンを練習するとデッサンのような絵を描くスキルが上達しますし、クロッキーやればクロッキーみたいな絵を描くスキルが伸びます。
それらの画力は別の絵柄でも応用利く場面はあります。
たとえば正拳突きの練習をしておけば腕力もついて、ボクシングをするときにもやってなかった人よりは強いパンチが打てそうです。
でも、自分がやる種目がボクシングと決まっているなら、わざわざ正拳突きの練習せずに最初からボクシングのジャブやストレートの練習をしたほうが効率的ではないだろうか、という話です。
イラストを描く場合も同じで、デッサンっぽい絵を上手く描きたいならデッサンの練習をするべきで、漫画っぽいイラストを描きたいならそういうイラストの練習をすべきなのです。
模写がオススメの独学練習方法になる理由がコレです。
ちなみに、デッサンというのは現実にある立体物を鉛筆とかで紙に描くことですが、いってみれば立体物の模写のこと。
イラストなどを模写する『平面から平面の模写』と『立体から平面の模写』のデッサン。
多少鍛え方は違えど、結果としてどちらも見たものを再現する能力が上達するという練習方法になります。
イラスト独学の定番であるデッサン。どんな場合に必要?
絵の基礎練習といえばデッサンですよね。
これは個人的な見解ですが、やりたくなければやらなくていいです。
もちろんデッサンに楽しみを感じることができるなら全然やってOK!
苦行に感じるぐらいならやめときましょう、というのが僕のアドバイスです。
デッサンに限らず絵を描くことはどんな絵を描いても画力の基本パラメーターは上がると思います。
どんな運動だろうとやれば、まったくやらないひとよりは体力がつくようなイメージです。
前述したように、デッサンをやって一番上達するのはデッサンのような絵を描くスキルです。
デッサンが必須になるのは!?
デッサンのような絵が描けることが一番役にたつのは以下の場面です。
- 美大に受験する
- 就職先の採用担当が美大卒
一般入試で美大に行くなら必須スキルになってくるかと思います。
そして、美大卒業生であれば自分が習得してきたデッサンというスキルについては注目しやすいのも事実。
会社側が募集要項などでポートフォリオにデッサン作品を入れるように記載がある場合はその会社の採用担当者が美大卒であると考えていいでしょう。
でもすべてがそういう会社だけではないので、デッサンが一切なくてもイケてる作品が多数あるポートフォリオを用意できれば就職先に困ることはないので安心してください。
デッサンやらなくていいって発信ってむずかしいんですよね。
なぜなら「それだから、お前はその程度なんだよ」と言われるリスクがあるわけで。
だから情報発信者としては、とりあえずやったほうがいいっていうほうが気楽なんですよ。
ぜんすけ
僕もデッサンやる意味ないなんてことはひとこともいってないですからね!(唐突に保身)
プロになってからデッサンやったっていい
プロのイラストレーターになったあとから基礎練習やったっていいんです。
充分にうまいプロがデッサンやクロッキーとか練習始めたりしているのを見かけたりしたら、プロがやってるんだから自分もやらないと!
と思って、あれもこれもとあせって自分の練習メニューに取り入れたくなってしてしまうかもしれません。
しかし、そのプロにとってはそのタイミングでデッサンやクロッキーをやることが成長につながって楽しめるからやっているのであって、あなたにとってのベストタイミングとはかぎりません。
やってみて楽しくなかったら、たとえ効果的な方法でも自分にとっては今じゃないのかもですよ。
上達のための独学や練習はプロになってからも続く
というか学生の間にトッププレイヤー並みになれる人なんてほとんどいないわけです。
イラストレーターなどクリエイティブ職であればプロになってからも勉強と独学は続くわけです。
だからこのブログ記事を読んでいるかたが初心者のうちからあれもこれもと基礎練習に明け暮れる必要はないと思うわけです。
ワンドロやスケッチ
僕自身もプロとして仕事を長く続けていますが、そんな今だからこそ僕自身がやったほうが良いんじゃないかと思っているのがワンドロやスケッチなどの短時間での練習です。
ゲーム背景の仕事など特にそうなのですが、密度が高く時間をかける必要のある絵を描くことが多くなります。
それに対してワンドロは1時間と時間を区切って完成に持っていく練習なので日ごろの仕事と違った学びが得られるんではないかと思います。
初心者の方でもワンドロなど短時間の練習を繰り返すことで、PDCAの回転速度を速く回せるので成長を期待できる練習方法の一つなのではないでしょうか。
初心者の場合で一つだけ気を付けたいのは、通常のプロのイラストは1時間などでは仕上がらないので、逆にちゃんと時間をかけて完成まで持っていく練習も同時に必要になります。
特にイラストを描き始めたばかりの初心者の場合は時間をかけてクオリティをあげた経験が一度もない人もいるんじゃないでしょうか。
その場合はワンドロなどの練習だけでなく、一度は1枚のイラストに時間をかけて描くという経験もしておくと良いと思います。
その他のイラスト独学方法、基礎練習も『やって楽しいかどうか』で決める
トレースやジェスチャードローイングなんかもぶっちゃけ、あなたが楽しいと思わなければやらなくていいと思います。
僕が以前書いたパルミーレビュー記事でトレースやジェスチャードローイングをやった感想で
「あまり時間はかかりませんし楽しくできました!」
と書いていますが、これがポイントかと思います。
その基礎練習をやっている時間が楽しめるかどうか。
これが判断基準といっていいと思います。
試しにやってみてわりと楽しいと思えたらやっていいと思うんです。
ただこれって人によって違いがあるので、実際に少しやってみて楽しめなかったらやらなくていいかと思います。
なんなら始める前からまったくやる気がわかないならその練習方法は一旦除外してOK。
イラストの上達におすすめの独学方法は完成作品を作ること
この記事ではここまで初心者におすすめの独学方法として模写をオススメしてきました。
その理由は多くの人にとって一番楽しいと思う可能性が高いからです。
そもそもイラストなどを描き始める最初のきっかけが模写だったりする人も多いのではないでしょうか?
そして楽しいことともう一つ重要なのは見て描くこと参考資料を見てより良い形に近づける練習になるということがあります。
しかし、模写を推奨するにあたり、重大な見落としがありました。それがこちら▼
重大な見落とし、それは……
この記事を書いている僕自身は背景イラストをプロして描いているにもかかわらず、学生時代などプロになる前に背景の模写とかやったことないって事実です。
「な、なんだって~!! 話が違うじゃないか!」
と、言われて当然ですよね……。
このままだと言行不一致なんで、どういうことか説明させてください(-_-;)
最初から背景絵師を目指している場合はそもそも背景模写をすることも楽しいと思いますし、学生のころからやっておくといいと思っています。
しかし、模写を推奨しておいてなんですが、僕の場合はキャラの模写とかは過去にやったことあっても背景の模写ってやったことあったけ……とふと我に返ります。
じつは僕の場合は少し特殊でして
「背景絵師に!!! おれはなるっ!!!!」 ドン!!
というように最初から背景描きを目指して就活してないんですよ。
働きだして最初の数か月は彩色班でキャラの色を塗っていたんですが、
「おい出雲寺、お前パースとかわかってるんやってな、背景班でやってみるか!?」
という上司からの話がありました。
僕としても、その時点ではまともに背景描けなかったので、背景描けるようになれたらいいなと思ってこの話にのって班移動をしました。
そんなわけで、いきなり仕事で背景を描くことになったという流れがあります。
そんなながれで、ガンダムのパイロットがいきなりザクが目の前にいる実戦でガンダムを初めて動かしはじめるがごとく、いきなり仕事で背景を描き始めたわけです。
僕の場合は背景を模写で練習するという意識を持つ前に実戦で戦いが始まってしまったのです。
実戦で仕事イラストを描くことと模写練習の類似性
じゃあ、なんで背景模写をやってないのにプロとして通用するようになったのでしょうか。
それは仕事としてイラストを描くときも模写と近い効果があるからだと思います。
- 参考資料を見て描く
- 模写と違って同じ絵ではないが、参考にした箇所はあるはずなので自分の描いたイラストと参考資料の違い比較できる
- 比較によって得た学びを次に活かす
最強の独学方法は『仕事をすること』!?
『仕事をすること』がイラストレーターになるための独学方法だといってしまうと卵が先か鶏が先かって話になってしまいます。
ですが、少なからずどこかに飛び込んで入って仕事をしてしまえば、成長のために必要な片輪である『継続』が手に入ります。
イラストレーターになるためのオススメ独学方法は『作品を作ること』
「いやいや、その絵で仕事をすることができるまでの独学方法を知りたくてきているんだよ!!!」
というお怒りの声が聞こえてきそうですね。
そうですよね。
そこで、『作品を作ること』こそが最強の独学方法ではないかという話をさせていただきます。
作品を作ることは仕事として依頼を受ける必要がありません。
『作品』は誰に頼まれるでもなく自分で制作することができるのです。
そしてポートフォリオという作品を集めたものがイラストレーターなどクリエイティブ職の就活では必要になります。
独学の練習がそのまま最終的に必要になるポートフォリオに使えるのであれば、就活時にあわててポートフォリオ作成に追われることもなく、作品を作るという独学を継続することができます。
『作品を作ること』はじつは仕事イラストを描くよりムズカシイ!?
いきなり『作品』を作ることができればいいのですが、まったくの初心者の場合はどうしていいのか途方にくれてしまうということもあるかもしれません。
周囲の人がこともなげに『作品』を作っていたとしたら自分は才能がないのではとへこんでしまいますよね。
作品といってもおおげさに考えず、てきとうに自分の好きな感じの絵をかけばそれはもう立派な作品であることをまず知っておいてほしいです。
とはいえ、それでもなんか悩んでしまってまったく筆が進まないんですけどということもあるでしょう。
じつはこれには理由があります。
いやいや、仕事のイラストはクライアントがいてリテイクもあるし、相手の求めたクオリティのものを提供できないといけないから仕事絵のほうが難易度高いはずでしょ?
そう思いますよね?
たしかに相手がいるのでその点での大変さはあると思いますが、別のところでは容易になっているところもあるんです。
初心者でも『作品』を作りやすくするための方法については、この記事におさまるようなボリュームではなく、書籍で解説するために執筆中ですのでそちらを気長にお待ちいただければと。
『作品を作ること』がむずかしいと感じたらやっぱり模写で独学
というわけで、人によってはこともなげに作品を作れる人もいると思うのでその場合はどんどん作品を作っていくことが最強の独学になると思います。
個人的には作品を作ることは少し難易度が高めなのではないかと思うわけです。
その作品づくりの難しいところを棚上げして、描画力スキルの学びに特化して練習できるのが模写というわけです。
- 模写は取り組みやすい
- 作品や仕事よりもセルフフィードバックで成長の加速が可能
模写のほうがセルフフィードバックしやすい
仕事にしても作品にしても、参考資料をみるのはいいですが、そのまままったく同じものを作成すると、いわゆるパクりになります。
なので、複数の資料を見たり創造性を加えてオリジナルのイラストに仕上げますよね。
その場合でも自分自身の作品をよりよくするために自分で描いたものより参考のほうが魅力的であればどこが違ったのか、どうすれば次はもっとよく描けるかなど反省をしPDCAを回すと思います。
とはいえ、この場合はまったく同じ絵を描いたわけではないので自分の絵に足らなかったのがなんだったのか把握するのが困難です。
しかし、模写の場合はどうでしょう
模写は同じ構図で同じものを描く練習なので参照元との違いを把握しやすくなります。
そのため、自分に足らない技術が判明しやすくセルフフィードバックが上手く働いて、描画能力の成長が加速しやすいのではないかというわけです。
背景イラストレーターになるための独学方法
ここまで、イラストの独学方法について書いてきましたが、
じつは前々から当ブログには独学についての記事が欠けてるからいつか書かないとな……と思いつつも先送りしていました。
先日、当ブログの高校生の読者のかたから
「独学方法について教えてください」というメールをいただきました。
じゃあこれを機にということで独学記事を書き始めました。
この記事に見に来る人が必ずしも背景イラストレーター志望とも限らないので、わりと汎用的な内容になるようにここまで書いてきました。
しかし、メールをいただいた高校生は背景描きになりたいということでした。
背景に絞ることでより具体的な独学方法をお伝えできることもあるんではないかなと思います。
というわけで、ここからは背景イラストレーターになるための独学方法を解説します。
ぜんすけ
自分の描きたいイラストジャンルに内容を置き換えたら背景以外のイラストでも参考になるかもです!
背景イラスト初心者はなにから練習すれば上達するのか
ここまでの話のとおり、まずは模写から入っていいと思います。
模写をするにしても初心者がいきなり大作の模写に入ると途中で心が折れてしまうかもしれないので、初めは比較的カンタンなものから始めたほうがいいです。
初心者の独学として始めやすいのは『部分練習』ではないかと思います。
もちろんイラストのクオリティをあげるためには画面全体の表現方法や明暗や効果もとても重要です。
しかし、全体的なイラストの制作される流れを見ても同じように描けるように練習するのも時間がかかり、取り入れるのが意外と難しかったりします。
そのため神絵師による解説でも初心者には難解に感じたり取り組むハードルが高く感じたこともあるのではないでしょうか。
分厚いステーキが良いというのはそのとおりです。
しかしまだそれが嚙み切れないときには一口サイズのサイコロステーキのほうが食べやすい時期もあるというわけです。
これは手前味噌になるので大変恐縮ではありますが、『デジタルイラストの背景描き方事典』
この本のように一つのモノごとに描き方を解説している書籍で練習するというのが初心者からでも始めやすい独学方法なのではないかと思うのです。
子供のころに習ったスイミングでも最初からクロールをやるんではなく『バタ足だけの練習』や『陸でのクロールの腕の動きだけの練習』をやっていた記憶があります。
習得して慣れた人にとっては何も考えずに同時に行えることも、初心者には複雑で困難だったりします。
そんなわけで工程を分解して、部分練習することが初心者には良いのです。
ちなみにこれは僕が勝手に自説を説いているだけでなく『才能を伸ばすシンプルな本』にもスキルを最小要素に細分化し、そして復元するということが、どんなスキルを身につけるときにも効果的だということが書かれています。
まずは一点突破!! その後、描けることの幅は徐々に広げればいい
初心者がすべての物を描こうと思っても上手く描けなくて挫折感を味わってしまいますよね。
全部を描こうとして何も描けない……
ではなく
1点集中でこれだけは描ける!
を作っていくわけです。
雲だけは描ける、星空だけは描ける、木だけ描ける……
というように、先に進むにつれてドリルの幅が広がるように自分の描ける物の幅を増やしていくわけです。
何から始めても問題ありませんが、以下のような拙著の自然編にあるような自然物は本当に使用頻度が高いです。
- 空
- 草地
- 地面
- 岩
- 木
- 低木
- 山
- ヤシ
- 海
なので、そのあたりのどれかから始めておけばムダになることはないです。
背景描き方事典の場合はある程度、僕の解説があるので多少練習しやすいんではないかと思いますが、べつに他の本やイラストでもいいと思います。
背景描き方書籍すべてまとめてます。他の絵柄で模写練習したい場合などにご活用ください
とりあえず、対象を絞った参考イラストなどを用意して、模写や作品作りをするとよいです。
たとえばSNSなどで夜空の美しいイラストを見てそんなイラストを描きたいと思ったら、その夜空に絞って描くことで練習していくのもいいんではないでしょうか。
そして、夜空の次は、海、その次は木……と描けるものの幅を広げていくのです。
そうしていくと複数の要素を組合わせて描くこともできるようになっていき、しだいにあるていどは何でも描けるようになっていくというわけです。
しかし、プロとして仕事をすることを目指すなら幅広げすぎるよりは得意なところを一定レベル以上まで引き上げたほうが良い結果になるかと思います。
そもそもイラストレーターであればキャラとか他にもあるなかで背景に絞っているわけですが、その背景の中でもさらに絞るというわけですね。
まず、初心者とプロの壁に細く絞っ先端で穴を穿ち、それからその穴を広げていくというイメージです。
背景描き方事典を使った背景イラストの独学方法
デジタルイラストの「背景」描き方事典をお持ちでなければ当ブログの記事も同様に個別の物に焦点をあてた解説になってます。
ただ、ブログ記事の講座のほうはかなり昔に作成した記事もあったりして作例のクオリティに難のあるものもあるんでその点はご容赦を。
(いずれヒマをみつけてブログ記事の内容の追加更新はするつもりですが……)
全部やらなくてもOK
事典ですからね。全部やらなくても、描く必要が出てきたときに参照する感じでかまわないと思います。
本書の特徴としては背景のパーツごとに解説しているので、練習として再現しやすいという特徴があります。
そのとき自分が練習したいところだけチョイスして独学することにも向いていると思います。
背景イラストの項目を1つ練習してみよう
どこから始めてもいいのですが、どれか1つの項目を選んで練習してみましょう!
練習を始める前に1冊まるごと通読してある必要はないです。
- まず、練習する項目の解説をざっと読む
- 試しに書籍を横目に実際に模写で描いてみる
- 書籍の絵と何が違っていたかを見比べる
- 自分の作品として空を描いてみる
- 参考にした資料とどこが違ったか見比べる
最初は満足いくように描けなくても大丈夫です。
そしてとりあえず、最初に取り組むのは1~3まででOK。
(後述の実績解除の条件もここまででOK)
4~5は繰り返し練習するとき用。
(同じのだと飽きてしまうと思うので)
学習ドリルの語源は、穴をあける工具のドリルが繰り返しの螺旋構造になっていることからきていると思われます。
繰り返すことで定着するというのは忘却曲線からも理にかなっているので、適当なタイミングで繰り返し練習するといいでしょう。
もっとも空など自然物は他の背景を描くときにも必ず入ってくるので、わざわざ繰り返し練習しようと思わなくても背景イラストを描き続けていれば勝手にと繰り返し練習ができていることになるかもですが。
別の項目の背景イラストも練習する
草地だろうがどの項目も基本的に1つめの練習の流れと同じような方法で独学に取り組んでいきます。
まずは空だけを集中して練習してもいいですが、空だけだとアオリの絵だけになってしまいます。
草地など他の項目の背景イラストも練習して描けるようになると表現の幅が広がります。
空と草が描けるようになってくると組み合わせでこういったイラストも描けるようになってきます。
このイラストも画面の大半は空+水面。
独学を楽しむためにゲーム的にイラストの練習をしてみよう!
イラストの独学を少しでも楽しくできないかなと考えたのですが、ゲーム的要素を入れてみてはどうかなと思いました。
ゲームだと実績解除などといって何かを達成したときにトロフィーが手に入ったりしますよね。
特にトロフィーがアンロックされて何かあるわけでなくてもやりこみ要素として楽しめたりします。
そんなわけで、独学が少しでも楽しくできるように『デジタルイラストの「背景」描き方事典』の実績リストを作ってみました!
称号 | 解放条件 | |
---|---|---|
1 | 背景修行入門者 | 背景イラストを1項目練習しよう |
2 | 背景見習い | 背景イラストを3項目練習しよう |
3 | 背景の冒険者Lv.1 | 背景イラストを10項目練習しよう |
4 | 事典を読破せし者 | 背景描き方事典を読了しよう |
5 | 背景の冒険者Lv.2 | 背景イラストを20項目練習しよう |
6 | 背景錬成入門 | 複数項目の組み合わせで背景を描こう |
7 | 自然背景の理解者 | 自然編の練習を制覇しよう |
8 | 背景の冒険者Lv.3 | 背景イラストを30項目練習しよう |
9 | 屋内背景の理解者 | 室内編の練習を制覇しよう |
10 | 背景描き方事典の覇者 | 背景描き方事典の全編(46項目)制覇! |
あらためていっておきますが、前述のとおり全部やらなくてもOKですからね!
むしろ最初は自分で満足いくできになるまで、すべてに手を出さずに絞って取り組んだほうが良いかと。
ゲームのトロフィーと同じでやらなくてもゲームクリアできるけど、あったらモチベーションになったりやり込むきっかけになるかなと思って作ってみた感じです。
#背景描き方事典
▲このハッシュタグを使って、「●●の実績解除した!!」って感じで模写したイラストのツイートとかしてくれれば、この記事読んで背景イラストの練習をがんばってくれている人がいるんだなー、って僕も気がつけるかもです!
イラスト技法書を使った独学
背景の技法書に限らずイラストの描き方の本はたくさんあると思います。
他の本も今回拙著の使い方として紹介したように読むだけでなく、実際に使ってこそ効果が得られるものではないかと思います。
イラスト技法書を買っても上手くならないというのは読んでいるだけで使っていないというのが原因かもしれません。
たとえば「小学生のための速く走れる本」があったとして、それを何回読んでも、読んだだけでその小学生は速く走れるようにならないですよね。
実際に本のアドバイスを見ながら身体を動かしてみるという行動が伴ってはじめて効果があるというわけです。
ぜんすけ
……と書いておきながら、僕自身も買ったイラスト技法書を読んだだけで、独学練習“使う”ところまでできていない本は多々ありますので、自分にブーメランささりまくってます…
なんなら積読までありますし……
≫Kindle Unlimited読み放題のイラスト技法書と参考本100冊以上まとめ
▲「Kindle Unlimited」という電子書籍読み放題のラインナップにもイラスト技法書が多数ありますので、それらをまとめた記事。
月980円のサービスですがイラスト技法書は2000円ぐらいはするので、普通に買うより断然お得です。
ちなみに永続的にサブスク続けるというよりは、しばらく課金している間に読みたかった本とかザっと中を見たい本を確認したら、またラインアップが追加されたりするまでしばらく停止するというのが賢い活用方法かなと思います。
初回の30日の無料期間だけ活用して独学に取り組むというのも締切効果があって、逆に自分を動かす強制力に使えるかもですね。
その他のイラスト上達に役立つ独学方法
とりあえず、自分の書籍などを用いた独学方法を紹介させていただきましたが、他の方法についてはどうでしょう。
前述したようなスケッチ、ワンドロ、模写などといった練習による独学は実習として重要です。
しかし完全な初心者の場合は座学としての基礎知識も必要な場合もあるでしょう。
- パルミー
- 無料のwebサイトや動画で独学
そのような知識を独学で得られるのは、このようなところになるのではないでしょうか。
パルミーのイラスト講座で動画講義で独学する
パルミーは動画で学べるオンライン講座ですが、詳細は当ブログのパルミーレビュー記事参照。
パルミーについては取り組む時間さえ確保できればイラスト独学できるオンラインスクールの中ではかなりコスパが高いと思います。
当ブログでも紹介しているように背景イラストの描き方に関する講座だけでもかなり多く、しかもどんどん増えています。
ですが、6ヵ月コースだと学割でも3万円ほどかかります。
とはいえ、専門学校や他のオンラインスクールと比べて圧倒的なコスパです。
(なので普段ならわりとおすすめしています)
しかし、今回僕にメールで独学方法について質問された高校生の軍資金はバイトで貯めた10万円とのこと。
いきなり軍資金の3分の1を投入するのは、後々のことを考えると心もとない気がしますよね。
ご相談のあった高校生はPhotoshopを使おうと思っているという話でしたたので、そのためのサブスク出費も考慮。
というわけで、今回のケースの場合なら一旦資金に余裕ができるまでは保留して、書籍や無料サイトから独学を始めたほうがいいかなと思います!
無料のwebサイトや動画で独学
前述のようなイラスト描き方技法書や有料の動画講座だけでなく無料のものもあります。
無料で独学できるというすごい時代になったものです。
色々たくさんある背景講座サイトをがっつりまとめたのでこちらが参考になるかと。
YouTube動画とかでももっとあると思いますのでそのうち動画講座のまとめ記事もいずれ作成します。
見てのとおりとてもたくさんあるので、目移りしてしまうかもしれません。
先にのべたように最初は1点集中にしたほうがいいので、最初からすべてに手をつけようとするのではなく、この記事のような一覧のなかからコレだと決めてそれをある程度形になるまで練習していくのがいいかもです。
ぜんすけ
全部のサイトのすべての内容を見ようと思うと、ザっと確認するだけでも大変な量があるので、習得したいことを先に決めてから見るとよいかも!?
ちなみに、前述の背景描き方事典を使った背景イラストの独学方法という項目で解説した練習方法は他の本やサイトなどでも活用できると思います。
単純に自分の本だと紹介しやすいってのもあるんでそれで解説しましたが、実際に練習に使うのは他の本などでも大丈夫。
あなたがやって楽しく、やる気がでるもので練習するのが正解です。
最低限のパースの知識は独学で得ておこう
パースが正しいことが魅力的な絵ではないと思いますが、減点方式で指摘されやすいポイントなので、あまりツッコみを受けずにすむていどにはパースの知識を得ておきましょう。
パース関係の本とか読んでおくとかこのブログのパース記事に目をとおしておくとかでもいいです。
≫イラストレーターが知るべき背景を描くときのパース(透視図法)の知識まとめ
イラストは結局、楽しく描いた人の勝ち!
トップをねらわない!
この世の中なんでもかんでも競争させてトップを目指すことが良いかのような社会構造。
しかし、SNSを見てくださいっ!
神絵師だらけでしょ?
そのなかでトップにならないとってみんなが思ったらどうなりますか?
全員が疲弊するだけです。
みんながトップを目指したら、あんなに描くのが楽しかったはずのイラストが楽しくなくなってしまいますよね。
たとえば同じ条件ならたくさんの時間をイラストに費やしたほうが上達しやすいかもしれません。
だからといって、
「オレは一日10時間以上描いている。キミはどうだい?」
▲こんなセリフは描き始めたばかりのビギナーの心をくじく言葉ですよね。
(もしこういうこと言ってる人が実際にいたとしても悪気があっていっているセリフじゃないと思いますが……)
ぜんすけ
ちなみに僕は1日に10時間も描いていないですよ!
「いのちだいじに」です。
10時間描いている人は描くのが楽しくてしかたないから描いちゃっているだけなんです。
まだ不慣れで手順もわからない初心者が、描いている時間が楽しくて時を忘れるようなフロー状態になれるでしょうか?
ならないですよね。
それなのにビギナーがガチ勢の作業時間だけ見てしまったら、どうなるかって話です。
プロがそんなにがんばっているんだからそれに追いつくためにもっとがんばらないと!
と長時間楽しいと思えない独学の練習を続けたらどうなるか明白ですよね。
好きだったはずの絵を描くことがキライになっちゃいますよ。
プロのイラストレーターになるための独学で上達する絶対法則は
描いてて楽しい方法だけ取り入れる!
これだけです。
楽しいことは続くし勝手にたくさんやるしいい方向にいくものです。
決してイラストレーターの画力の頂点なんて目指さないでください。
楽しくなくなりますから長く続けられないしメンタルにも良くないです。
とにかく描いてて楽しいが正解です。
たとえ僕がオススメした方法だろうが他の有名絵師の推奨する方法だろうが、それはその人にとっての正解(楽しい方法)であってあなたにとっての正解(楽しい方法)でなければ取り入れる必要なんてないんです。
楽しいことは継続する
筋トレとか継続してやってる人って、筋トレ楽しそうですよね。
飲みの場とかでも隙あらば筋トレトークに話がなっていたりして、すごく楽しんでいて好きなんだなってのが伝わってきます。
イラストとか絵を描くってこともやっぱり続けることは重要ですし楽しくやるってことが一番重要なんじゃないかなと思います。
クリエイターの性というやつなのか、ほうっておくとトップを目指してアクセル全開でクラッシュしがち。
あせらず、楽しくやれる方法で独学していきましょう!
「描くのが楽しいと思えない」そんな自分はダメなのか~、と思わないでください!
「独学とか練習も楽しめないことならやらなくていいよ!」
ということを伝えるために“楽しいと思えるか”といことを繰り返し伝えてきてしまいました。
しかし、そういうメッセージを伝えていると
「自分は絵を描くこと楽しいとか思えないんだけど!」とか
「そうですか、あなたは楽しく描けていいですね…」
と思われてしまうこともあるんじゃないかと思います。
いや、僕だってここまでの文章を自分で読んだらそう思うかもしれない……。
なぜなら、僕が背景イラストを描くときも、描き始めた瞬間からいい仕上がりになりそうな場合はいいですが、いつもそうとも限らず自分の力量のなさに絶望しながら描き進めていているときだってあるのです。
最後のほうになって満足できるような形になってきてようやく安心できる。
そんな場合も多々ある……いや、むしろそういうことのほうが多いぐらいです。
でも、そんな中でもどうにか描ききって
「結構いい感じに仕上がったぞ!」
と自分でも思えたときは登山で山頂に到着したような達成感があります。
今、もし絵を描くことが楽しいと思えないのであれば無理やり楽しむ必要はありません。
ただ、絵を描くことがイヤになっちゃうような原因を淡々と雑草を除去するように取り除いていきましょう。
このページにたどりつき今こうしてこの文章を読んでいるということは、いつかどこかのタイミングで絵を描くことが楽しいと思ったことがあるんじゃないでしょうか?
だから、あなたの中に絵を描くことを楽しむ『種』はあるのです。
ぜんすけ
そして、また芽が出てきたのであれば、それを枯らさずに育てていただけたらと思います!
おわりに ー お前のドリルでッ……! ー
というわけで、
「めっちゃ努力して時間もつかってがんばってプロになるぞ!!!」
という、やる気に満ち溢れている状態の人にとっては、もしかしたら今回の内容がものたらず、もっとガンガンいこうぜ!な独学方法を伝えて欲しかったかもしれません。
プロになるまでの短期間なら短距離走的にがんばる必要があるタイミングもあるかもしれません。
でも長距離走的に途中リタイアせずに続けていくことで実力をつけていくことも大切なのではないでしょうか。
今の時代は効率的に最短距離で倍速で……というように
とにかく早い結果が求められています。
なかにはまれに最速で成果をだしていく人もいるので、それに憧れることもあるかもしれません。
しかし、全員にそんなことが起きうるでしょうか?
同じことをしても運の要素もあるかもしれません。
はたからみたら成功しているように見える人ですら、さらなる上を目指してメンタルやフィジカルを崩してしまうことだってあります。
で、あれば高みを求めすぎない今回の記事の内容というのも一読の価値があるのかなと思います。
ぜんすけ
アクセルだけだとコースアウトしちゃうので、安全に進むためにもブレーキも時には必要ってわけです
- やることを絞って尖らせてプロレベルに描けるようになる。
- そしてプロになってからじっくり成長を続ける。
- 無理をしない
- トップをねらわない!
夢を追う人からしたら大人って夢をあきらめさせる悪者にされがちじゃないですか。
僕もわりと学生時代に親からはもっと堅実的な勉強とかのほうをちゃんとやれといわれてたんで、親に憤慨していたものです。
なので安易に、他人の夢に水をさしたくはありません。
しかし、トップを目指すのはやめたほうが結果として幸せになれるんではないかと思うのです。
“楽しくやってたら偶然なっちゃった”を狙うぐらいの心持ちでいいんじゃないでしょうか。
じゃあプロになることについてはどうかって話です。
それも目指さないほうがいいの? と思うかもしれませんが
プロにはなれるので、目指してOKです!
プロになることは普通の就活と同じで非現実的なことではありません。
婚活で、「世界一の富豪としか結婚しない!!」っていってる人がいたら
「まぁ一旦、茶でも飲んで落ち着けよ」といさめる人が多いと思いますが、普通に結婚したいといってるひとがいても誰もやめたほうがいいとはいわないのと同じです。
独学だけでもゲームやアニメなどのイラストを描くことを仕事にすることは可能です。
美大や専門学校に通うことでやるべきことを導いてもらえたとしても、やはり完全に受け身ではそのアシストを活かしきれません。
学校に行くいかないに関わらず、主体的に学ぼうと思えば必ず独学もするのではないでしょうか。
ドリルの先端として絞りにしぼった、
あなたが最初にやるべき独学内容は、もう決まりましたでしょうか。
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では、準備はいいですね?
あなたの『独学という名のドリル』で、
目の前に立ちはだかっている、そのプロの壁ってやつに……
風穴を、開けてやりましょう!!!
まとめ
- 基礎練習全部をやってはいけない。自分が楽しい練習方法だけやる。
- 練習対象を絞って一点突破でプロレベルにする。その後徐々に広げていく。
- 仕事、作品作り、模写のいずれかをやる。そして、セルフフィードバックをする。
ちなみに、背景イラストだと二次創作ってあまりないですが、キャライラストレーターを目指しているなら二次創作もさかんですよね。
楽しんでやれるのであれば、作品づくりのところがオリジナルでなく二次創作でももちろんOKですよ。
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≫イラスト専門学校でプロイラストレーターになれるの?【美大や独学と比較】
技術的な実力をつけるためには独学は必須。しかし、就活成功には実力プラスαが合否をわけるケースもあるので状況によっては専門学校なども検討の余地あり。(金銭的な余裕と自分の本気度しだい)