イラストを描くのは好きなんだけどプロとして絵を仕事にするにはどうすればいいか。
そんなふうに思ったときにパッと思いつくのがイラストの専門学校ではないでしょうか。
ではそのイラスト専門学校で本当にプロになれるのか、そして専門学校以外の方法ではどうなのかといったことをゲーム会社などの社員を16年間働いたあとフリーとしても2019年から絵で生計を立てている僕の目線で解説したいと思います。
▼イラストを始めるのに必要な道具、学習、就職など当ブログ内容の総まとめ記事
≫イラストレーターになる方法の全知識まとめ【現役のプロが解説】
ジャンプできる目次
イラスト専門学校って行く意味ってあるのか?
イラスト専門学校の経済的な価値を考える
当ブログでは先日、美大について経済的に考えるという内容の記事を書いています。
これに続いて今度は専門学校について経済的に考えてみながらそれぞれの違いを比較しつつ、プロになるための学び方について考えてみようという記事です。
学費ってわりと高額な出費なんですが、比較したり考えるのが大変ではないでしょうか。
この記事ではそれをざっくりまとめて比較していますし、あまり他で見かけることのない学費の月額換算額も記載しています。
ぜんすけ
この記事を読むと、絵を学ぶための学費というのが、月額いくらのサブスクなのかがわかるというわけです
専門学校、美大、独学、どの方法でプロを目指す?
この記事のタイトルの問いに対する結論を先に言ってしまうと専門学校で学ぶことでイラストレーターなど絵の仕事に就くことは可能です。
じつは専門学校に限らず、美大や独学でもプロになることはできるのですが、人によって経済的な状況や個人の性格など違うのでどの方法で学ぶべきかは人それぞれ。
この記事を読むことで専門学校、美大、独学、それぞれの特徴の違いがわかり、自分はどの方法でプロを目指すといいのかわかるようになるきっかけになると思います。
- ゲームやアニメなどのイラストの仕事をしたいなら専門学校は美大よりもお金はかからない。
- 独学 専門学校 美大の3つの中で専門学校は中間に位置するバランス型。
- 3つどの選択も結局は成長は結局自分しだいなので遊んで卒業してしまわないように注意
この記事の結論としてはこんな感じで専門学校で絵の仕事に就くことは可能という見解なのですが、実際に学費や環境などが美大や独学とどう違うのかなども含め検討していきましょう!
イラスト専門学校の学費
まず、美大と専門学校の学費の違いから見ていきましょう。
イラスト専門学校と美大の学費の比較
美大の学費については先日こちらの記事で書きましたが、美大の学費は4年間で690万です。
ちなみに美大ではなく一般の大学だと四年で450万
初年度が150万 で2年目が140万。専門学校の学費は2年間合計で290万。
初年度は10万高いのは入学金の分です。
学科によっては年間10万ほど高いので2年合計で310万ほどになる場合もあるので
専門学校の学費は約300万と考えていいのではないでしょうか。
専門学校と美大の学費の差は入学金が美大は30万、専門学校10万ということで初年度の差は40万ほどですが2年目の学費の差は20万程度。
ぜんすけ
まぁ、充分大きなお金なんですが……
イラスト専門学校と独学の学費の違い
独学の場合、学費は決まった額があるわけではないのでやりようによっては0円ということも可能です。
現在はとてもいい時代でインターネットでプロのイラストレーターや漫画家が情報発信しているので、学校で習う内容に負けない内容が公開されています。
そのため0円で技術の習得をすることもできるでしょう。
しかし、ネットの無料情報だけでなく書籍など有料で有益な情報を得られるコンテンツもありますのでそういった独学用のコンテンツで仮の学費を計算してみます。
学習期間についても独学は本人しだいなのですが、ここでは専門学校の期間に合わせて考えてみましょう。
独学の学習コストは月いくら?
動画コンテンツで独学する場合、パルミーの月謝が約月に1万円です。
パルミーについては以前、以下の記事で紹介したので詳しくはそちらをご参照ください。
書籍はイラスト技法書だと1冊2500円ぐらいとしても、買った書籍を消化することを考えると毎月4冊とか買っても1万円。
まぁ、毎月4冊とか買っても積読になる気もするので、本2冊ぐらいとしたら月に5000円。
プロのイラストレーターさんがPIXIV FANBOXなどで公開している情報やBOOTHやCLIP STUDIO ASSETSなどで販売しているブラシや素材などを購入するのも即戦力として使えるでいいでしょう。
これらネットの素材や情報も月5000~1万円もあったらおつりがくるというか、わりと気兼ねなく買いまくれるレベルだと思います。
独学の学費の合計
独学は0円でも可能ですが、月2万使ったとして独学2年間で48万円。
およそ50万円が独学2年間の学費になります。
4年分の独学の学費だと96万になるので約100万円になります。
なので、専門学校や美大など学校に通うことに比べるとだいたい6分の一とか7分の一ぐらいの学費で済むというわけです。
学費 | 期間 | 月額 | |
---|---|---|---|
独学 | 0~50万(0~100万) | 2年(4年) | 0~2万 |
イラスト専門学校 | 300万 | 2年 | 12.5万 |
美大 | 700万 | 4年 | 14.5万 |
そんなわけで、あたりまえですがコストだけでいえば独学が圧倒的です。
では、それだけのプラスアルファの金額を払って学校に通うメリットはどんな感じかを考えていきましょう。
知らないと絵の専門学校に行って後悔することになる真実
イラスト専門学校は入れば勝手に実力がつくものではない
専門学校のメリットをあげていく前に注意しなければならないのは、自動的に実力がつくことを保証されているわけではないということです。
専門学校というと就職率などを広告にかかげているので入れば勝手に実力が付きそうな印象を持ってしまうのではないでしょうか?
わりと大人になると色々とわかることもありますが、学生の頃にはそういった印象で受け身で過ごしてしまうと思った結果にならないので、ここで入学する前にしっかりと現実を知っておいていただければと思います。
結局学校に通っていても学習は自宅で取り組む時間によって大きく成長の差がでます。
普通に中学や高校など学校の勉強で考えるとわかりやすいですが、高校や塾もただその場にいるだけでは学力上がりませんよね?
専門学校だろうが美大だろうが、受け身でその場にいるだけで日々過ごしてゲーム会社に就活するというのは、受験勉強せずただ毎日学校通ってるだけで大学入試に挑むのと同じと考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
イラスト専門学校や美大が独学のみよりも優れている点
じゃあ結局自分で学ぶ必要があるなら、独学の数倍の金額でなんのために専門学校や美大いくのよって話ですよね。
学校に通う利点は以下のようなものがあります。
- わからないことあったときに聞ける
- 同じ目標を目指す、刺激を受けあえる仲間との出会い
- 就職補助 学校としても実績として就職率は上げたい
- モラトリアム期間
わからないことあったときに聞ける
3DCGなどソフトの使い方でわからないことがあってネットで調べながら習得する場合で考えるとわかりやすいですが、ネットにも色々情報はあるものの状況によっては調べるのが難しくて一つのことをやるのにもかなり時間がかかったりしてしまうこともあります。
こういった場合に専門学校に通っていれば先生に聞くことで効率的に習得することができるようになります。
これはイラストなどでも自力では煮詰まってしまったときに的確なアドバイスをもらったりすることで技術向上が効率的になるかと思います。
さらに技術的なことだけでなく、プロの現場の話など講師の先生の経験を聞ける機会などもあるんではないかと思います。
同じ目標を目指す、刺激を受けあえる仲間との出会い
自分1人で学習を継続的にやっていける人はいいかもしれないですが、やはり仲間の存在は大きいのではないでしょうか。
他の人が同じ課題についてどんな作品を提出するのかを見たりして、自分の強みや弱みを把握できたり刺激を受けて練習したり同じ目標を目指す同志に出会えるのは学校という場所に行く利点だと思います。
仲間だけでなく講師の先生もまた縁の一つですね。
専門学校などであった仲間はプロとして仕事に就く可能性がありますし、講師の先生もプロとして仕事をしていたりするので、仕事の発注先となる企業と繋がりのある人物と知り合いになれるわけです。
これはフリーでイラスト仕事をするときには運が良いと仕事につながったりします。
知り合いからのイラスト仕事発注
わりと仕事をいざ頼む側になったとき、知り合いに頼むってケースは意外とあります。
実際に僕もゲーム会社に勤めていたときに知り合いのイラストレーターに発注したことがありましたし、逆にフリーになってからは知り合いから受注することも結構あります。
ぜんすけ
お互いに性格や能力を把握しているので、依頼しやすいんですよね
僕の場合は元同僚といった繋がりが多いですが、まだ1社も勤めていない学生の場合はイラスト専門学校などがそういった場としても機能するかと思います。
就職補助
専門学校としても入学希望者を増やすためには実績として就職率は上げたいのはあたりまえですよね。
ということは、プロを目指す学生と目的は重なるので協力者ができるというわけですね。
1人で目指すよりは業界の情報などにも詳しい人に相談できるという強みがありますね。
ゲーム会社の人を招いての学生のポートフォリオ展覧イベントの開催
ゲーム会社側も優秀な人材を確保するためには求人にお金をかけています。なので、優秀な人材を無料で青田買いできればお得ですよね。
そして、専門学校側としては就職率が上げたいですし学生も内定取れたら嬉しいですよね。
そんなみんなが嬉しい取り組みとして学生のポートフォリオ展覧イベントを専門学校が企画してくれたりします。
こういったイベントがなくても、企業に応募してポートフォリオをガンガン自ら送ることで同様の効果を得られますが、学生の立場でいえば受け身で少しは就活ができるという楽さはあるでしょう。
≫【クリエイターの転職】ゲーム業界でCGデザイナーになるために必要なスキルとエージェントまとめ
モラトリアム期間
ある意味、専門学校に通う最大のメリットかもしれないモラトリアム期間。
モラトリアム……ようするに高校を卒業してから働くまでの猶予期間。
NEETなどという言葉が浸透して随分経ちますが、高校卒業後なんもしないとこれになってしまうわけです。
就学・就労していない、また職業訓練も受けていないってのがニートの状況なわけです。
この言葉のせいで働いていない状況のネガティブイメージがありますよね。
個人的には独学でもプロを目指していたら職業訓練になるのでは? という気もするんですが親など周囲の人たちがどう考えてくれるかはなんともいえないですよね。
美大と比較してイラスト専門学校の利点
学習内容がより就業訓練として最適化されている
専門学校は授業の内容が実戦向きの内容になっているのが利点です。
イラストレーターやゲーム業界の就職などを専門学校はターゲットにしていますが、美大の場合は職業訓練校ではないので、芸術的なことなど直接的に就職に向けた課題以外のこともするのではないでしょうか。
これは美大に限らず一般の大学でも実際の就職後に使わない学業を習いますよね。
実際に仕事をするときに直接的に必要な能力を学びたい場合は専門学校のほうが適しているでしょう。
モラトリアム期間は美大よりも少ないが出費は抑えられる
学生としての猶予期間は専門学校だと2年と短いもののそのぶん学費は抑えることができるので、無事に就職できれば金銭的にコスパが良くなります。
イラスト専門学校なら初心者からでも始めやすい
美大の場合は良くも悪くも受験の洗礼を受けているので、多くのかたがデッサンなど絵についてそれなりに取り組んできた人が集まっています。
イラスト専門学校と比較して美大のほうが優れている点
ハロー効果
これについては美大についての記事で解説しましたので、くわしくはそちらに譲りますが、ようするにブランド価値が付くという感じでしょうか。
≫美大の学費が一般大学より高い理由【学費を投資として考えてみた】
学生の意識
もちろん専門学校にも意識の高い人や技術力の高い学生もいると思います。
単純に美大の場合は入学試験があるので早い時期からデッサンなどに取り組んでいたりするので、自分の進路などについて早い段階から意識していたりそれなりの努力をしてきた人が集まるという仕組みになっているので、比較的意識が高い確率が高いのではないかと思います。
専門学校の場合は入学試験があるわけではないので、ゲームが好きだからという理由で専門学校に入ってきたりする可能性もあるので、そういったクラスメイトに感化されて専門学校に通ってたけど絵の練習とかせずにひたすらゲームを遊んで2年過ごしてしまったということにならないように気を付ける必要があるというわけです。
学校の利点を得つつコスパ重視ならイラスト専門学校
学生としてのモラトリアムを維持しつつ、ゲームやアニメなどのイラストの仕事をしたいなら専門学校は美大よりもコスパはいいのかなと思います。
イラスト専門学校は学生という立場を維持しつつ学費を抑え気味にしたい人に向いている
- 高校を卒業するまでにプロで通用するスキルの習得が間に合わない
- 働き始めるまでのモラトリアムが欲しい
- ニートになるぐらいなら専門学校で学ぶべしと親が言っている
こんな状況である場合は4年制の大学や美大と比べて2年間の専門学校は学費を抑えることができるのでイラスト専門学校に進学という選択はありなのではないでしょうか。
個人的には戦略があればフリーターやニートで独学もいいと思うんですが
おまえが良くてもウチの親が許さんわ! というご家庭も多いんじゃないかなと思います。
- 高校卒業してすぐに働くのでなく、親も納得のモラトリアム期間が欲しい
- 学費のコストはなるだけ下げたい
- 自分1人で継続が続かないので環境が欲しい
タイミングがいいとさらにお得にイラスト専門学校に通えるかも?
美大などに比べると専門学校のほうがマーケティング的なことをやっていると思うので、タイミングによっては入学金の割引や免除など少しお得に通えるチャンスはあるんじゃないかと思います。
でもそこは専門学校側と入学希望者の駆け引きにもなるので必ず割引チャンスに巡り合えるとも言い切れないですが……。
そういう意味でも複数の専門学校をあらかじめチェックしておくとチャンスを見つけやすいという利点があるのではないでしょうか。
資料請求や体験授業で情報収集
そんなわけで、自分が求めるものが美大でなくイラスト専門学校っぽいぞという人はとりあえず無料の資料請求や体験授業に参加するなどで情報収集するのはありかと思います。
ちなみに僕も、もう10年以上前だと思いますが、専門学校で背景美術会社の草薙のお話が聞けるイベントがあって聞きにいったことあります。
その時点ですでにプロとして仕事していたので、専門学校的には僕は顧客ではない聴講者だったかと思いますが、「すでに働いているんですが大丈夫ですか」と事前に確認して問題ないってことだったんで、しれっと参加してきました。
そういった、著名な方呼んだイベントだけでなく、進路相談会的なものもやってたりするところもあるみたいです。
イラスト専門学校はメジャーどころ以外にもたくさんありますが、全部紹介しようとするとそれだけで1記事になってしまうぐらいあると思いますのでとりあえず今回は以下に2校だけ簡単に紹介します。
ヒューマンアカデミー
全国展開しているということで北海道の札幌から沖縄の那覇まで全国各地で通えるイラスト専門学校ですね。
東京だと秋葉原に校舎があるようです。埼玉の大宮や神奈川の横浜など首都圏でも複数校舎があるので通いやすいのではないでしょうか。
以前のこのブログで美大の記事で美大の利点に大手会社での新卒が見切れないほど応募のあった場合の足切り回避を上げていましたが、ヒューマンアカデミーの内定実績で超大手ゲーム会社もあるので専門学校からでも大手ゲーム会社への入社は可能ってことですね。
ぜんすけ
結局、絵描きの就活はポートフォリオしだいですよね
▲ゲーム開発志望向け
ヒューマンアカデミー イラスト▲イラスト志望向け
公式サイトから申し込みすると、どんな感じのカリキュラムなのかなど詳しい学校の資料が無料で送ってもらえます。
アミューズメントメディア総合学院
山手線で渋谷と恵比寿の間で外見ているとインパクトのある外観のビルを見かけると思いますが、あれがアミューズメントメディア総合学院の本館ですね。
大阪アミューズメントメディア総合学院▲東京だけでなく大阪校もあるみたいです。
アミューズメントメディア総合学院も同様に超大手ゲーム会社に就職実績がありますね。そして業界就職率も高いです。
資料請求はこちらも無料なので比較検討してみるのもいいですね。
まとめ
そんなわけで、今回はイラスト専門学校について語ってみましたがいかがだったでしょうか?
ぜんすけ
学校はサブスクサービス。課金しても使っていないサブスクはお金の無駄になるので、しっかり道具として使い倒してこそですね
僕の場合はこのブログの背景講座記事や背景イラスト技法書など独学系コンテンツを提供している人間なので、放っておくと意図せず独学寄りな意見になってしまうと思うんですよね。
ですが、学校に行かず独学のみという選択は必ずしも万人向けというわけでもないかなと思ったわけです。
なので、今回はできるだけフラットな目線でイラスト専門学校の利点などを検討し、どういった状況の人に向いているか考えてみました。
この記事が少しでも学生の方が進路を決めるお役に立てたのであれば幸いです。
専門学校が向いているかなと思った人はこれから次はどの学校に行くか検討すると思うので、今後の当ブログの記事で上記紹介した学校についてもう少しちゃんと調べてみた記事や他にどんな学校があるかなど調べた記事を追加するかもしれません。
すきま時間に執筆しているの気まぐれ更新ブログなので、気長にお待ちいただければと思います。
▲ヒューマンアカデミーについて特徴調べた記事を書きました!