今回はTourBox NEOという左手デバイスをご提供いただきましたのでレビューしていきたいと思います。
今回ご提供いただく前からそれとなくTourBoxというデバイスがあることは知っていましたが、正直なところ見た目変わった変わり種デバイスかなとそれほど真剣に購入を考えていたりしませんでした。
というのもそもそも左手デバイスというのは今までも様々なものがあったと思いますが、正直なところ普通のキーボードの使い勝手を超えるというのは意外と難しいという問題がありました。
キーボードって普通にたくさんのキーがありますし、ショートカットを使いこなしていると生半可な左手デバイスではキーの数が足らなくなるのです。
なので、僕が今まで使っていたのはPowerMateやRev-O-mateというようなホイール式の左手デバイスをキーボードにプラスして使うというスタイルでした。
ようするにあくまで基本の左手デバイスというのはキーボードで、その補助としてのホイール型デバイスですね。
そんなわけで、僕は今まで補助としてホイール型のデバイスを使っていたので、ホイール型デバイスのあるTourBox NEOは悪くなさそうです。
しかし、他のボタンがキーボードの代わりになり得なければ結局お蔵入りになってしまうのでは? という懸念がありました。
僕の感覚ではショートカットは軽く20以上はないとまかないきれないという認識があったので、TourBox NEOをパッと見たところ14個。
ぜんすけ
14個か、これでは厳しいかな……というのが初見の印象だったのですが、実際に使ってみてこれは完全に杞憂であったことがわかります…!
その結果、TourBox NEOのショートカット設定項目数は……
なんとは47個!!
ハッキリ言ってこれはヤバいですね。
本当に今までよく調べもせずに侮っていて本当にすみませんという気持ちです。
とにかく僕自身が今まで色々とネットで他のかたがTourBoxの紹介しているのを見かけてきていたはずなのに、これの魅力やポテンシャルが僕に伝わっていなかったので、 TourBox NEOを実際に使ってみてのガチの感想をお伝えしたいと思います。
ちなみに今回ガチンコで仕事で使い込んだうえでのレビューになりますので、記事の途中で僕がTourBox NEOでどのようにショートカットを割り当てているかの設定も公開します!
ブログのレビュー記事やレビュー動画というのは手に入れてすぐに作成されるのが一般的で、意外とガッツリ使い込んだ記事って珍しいんですよね。
今回は僕の本業であるイラスト仕事の都合でブログ記事を書く時間が取れなそうだったんで、記事作成までに時間をいただいたことでがっつり TourBox NEO を仕事で使い込んだうえでの記事にすることができました。
ぜんすけ
どのくらいガチで使ったかは後ほど紹介する僕のプリセット設定を見ていただければわかるかと思います。
実際に使う前の僕のように 「TourBoxねぇ……どんなもんか知らないが結局左手デバイスで脱キーボードなんて無理でしょ?」とあなどっている方に、ぜひこの記事を読んでいただけたらと思います!
ちなみにNEOというのがバージョンアップ版ということなので、今回のTourBox NEOでそれ以前のとどう変わったのかなども解説していきたいと思います。
ジャンプできる目次
TourBox NEO 開封レビュー
それではさっそくTourBox NEOの箱を開封していきます。
フィルムに包まれているのではがして箱を開けます。
TourBox NEO 同梱品
箱の中にはクイックガイドなどとあとはTourBox NEO本体とUSBコード。そしてそれぞれコードと本体用の袋も用意されています。
TourBox NEO 接続
コードはUSBタイプCがTourBox NEO側で、USBタイプAがPC側に接続するかたちです。
ケーブルは耐久ナイロン素材でしっかりしているやつが使われています。
ケーブルも本体もそれぞれ一つなので特に接続に迷うこともないでしょう。
TourBox NEO の特徴
TourBox NEO は設定できるボタンの数が多い
TourBox NEOは 14個 のダイアルやボタンがあり左手デバイスとしてボタンの数が多いです。
ぜんすけ
数が多すぎて初見の人が迷わないために同時押し設定は最初たたまれているから見落としがちだけど、これを開くと一気に設定増やせますよ!
TourBox NEO はダイアルなど回転型が3種と多い。それぞれのボタンとの組み合わせで11種類
TourBox NEO はダイアルやホイールなど回転系のものが多く、しかも他のボタンを押しながらで別のショートカットを割り当てることができるので、正直持て余すレベルで設定できます。
それでも足らない場合は、以前僕がレビュー記事を書いたXP-Pen『Deco pro sw』などのようにホイール付のペンタブを使うという方法もあります。
ぜんすけ
もっともTourBox NEOは サイドボタン押しながらホイール回すということができるんで、よほどのことがなければまず TourBoxNEOだけでこと足りるかと思います
文字入力以外は完全に脱キーボードできる
左手デバイスだけで完結させて脱キーボードって難しいんじゃないかとなかばあきらめていたというか、期待していなかったところあるんですが、 TourBox NEO は まさかの脱キーボードいけうる左手デバイスです。
文字入力以外はキーボード使わずに作業できてしまいます。
旧TourBoxと新しくなったTourBox NEOの違いはなに?
僕は今回のTourBox NEOで初めてTourBoxを使うようになったんですが、『NEO』と名前につくだけに新バージョンというのがわかりますが、いったいどこが変わったのか調べてみました。
これはやもすると地味な変化に思われるかもしれませんが、単純に設定できるショートカット数が増えただけではなく、使い勝手としてはかなりパワーアップしていると個人的には思いました。
たとえば虫眼鏡ツールを割り当てているところを押下で拡大率0にするように設定することができます。
これは設定するボタンがあまっていれば以前のTourBoxでも拡大率0をどこかのボタンに割り当てることはできたと思いますが、それだとどのボタンだったかをおぼえにくかったと思います。
それが、拡縮を割り当てているダイアルに設定できると、ショートカット操作と場所の意味が関連しているので自然とおぼえることができます。
TourBox NEO の使い勝手は
最初に結論をいうと、TourBox NEOの使い勝手はかなりいい感じです!
ショートカット環境が快適にできるのでツールの変更やパラメーターの切り替えによるショートカット操作による中断や遅延を減らすことができるので作業の快適さが増したと感じられました。
Shiftキーの直線なども問題ない
押している間だけ機能させるタイプの操作も普通に問題なく操作できます。
絵を描く際には Shiftキー押しで直線 引いたりなどで頻繫に使う機能なのでこれがちゃんとしていないと使い物にならないのですが、 TourBox NEO は問題なく機能しています。
ボタンの硬さがちょうどよく、ボタンの押す感覚が良い
ペンタブの付属のエクスプレスキーなどは結構硬くて押しにくいことも多いですが、 TourBoxは 適度なボタンの感覚で押し心地はよいです。
ボタンの距離感や配置もいい
ボタンの距離感や配置が絶妙によいので手の置いた形も窮屈になったりせずにいい具合に扱えるのはいいですね。
イロモノかと思った十字キーもじつはかなり理にかなっている
十字キーってこれまたゲームじゃないんだから……とあなどるなかれ。
この十字のボタンは方向感のある操作をセットするのに非常に向いているのです。
上下もレイヤーを上に移動とか下に移動というのを十字キーの上下に割り当てるのもありかもしれません。
じつは整然と同じサイズのボタンが並べられるよりもむしろ感覚的に記憶しやすくミスタッチも減らしやすい仕組みになっているのです。
ノブやダイアルのプレスボタンは良い
前述したとおりTourBox NEOで新たに追加されたノブやダイアルを押し込むとボタンとして作用するプレスボタンの機能がありますが、これがなかなか良いです。
本当に使う人間の要望をよくわかっている方が開発されてるんだなというのが感じられます。
TourBox NEOの改善点は?
個人的にはTourBox NEOをかなり気に入ってしまったので全体的に良いところを紹介しまくってしまったわけですが、では難点や改善点はないのかって思いますよね。
そんなわけで僕が感じたTourBox NEOの難点なども紹介したいと思います。
価格がそれなりにお高い
1万円代後半の価格帯でなかなか値がはります。
なので、もし壊れたときなどはなかなか手痛い出費になります。
しかし、 TourBox NEOは作りもしっかりしていることを使った印象からも感じるので、高価格帯になるのはいたしかたないかなとも感じます。(作りがしっかりしているから壊れにくいということに期待したい)
正直なとこRev-O-mateなどのホイールメインのデバイスでも1万円越えしたりするので、 TourBox NEOはこのボタン数や使い勝手の良さを考えると妥当といえば妥当な価格だと思います。
ですが、学生などで稼げる時間が限られている人が、これからデジタルイラストを始めようという場合には少し手を出しにくいかもしれないですね。
欲をいえば無線化してくれたらありがたい
キーボードやマウスが無線があたりまえになった時代ですし、欲をいえばいずれ無線接続になることを期待したいところですね。
普通のイラストレーターはデスクトップPCで固定された環境で作業する人も多いと思うのであまり関係ないかもしれませんが、僕の場合はSurface Pro 7を使って仕事しているので結構リビングと作業部屋の2か所でいったり来たりするので、有線のデバイスを持ち歩くのが少し煩わしいというのもあったりします。
特に僕が今使っているSurface Pro 7はUSB Type-Aあるんでいいのですが、Surface Pro 8はUSB Type-Cしかないので、今後新しい端末に変えたときに変換 アダプタをかませる必要がでてくるかもしれません。
Bluetoothで接続対応していればそういった接続端子問題もあまり考えなくて良くなるのでいいなと思ったわけです。
もっとも無線にすることで遅延や接続が切れたりするぐらいなら全然このまま有線でかまわないってレベルの話ではありますが。
Ctrl+スペースで虫眼鏡使用時の挙動
TourBox NEOはとても有能なので 『 Ctrl+スペース』 を設定すればちゃんと一時的に虫眼鏡ツールにすることができます。
Ctrlを設定したサイドボタンとスペースを設定した ショートボタン。この サイドボタンと ショートボタン同時押しに一時虫眼鏡を設定することができるのでキーボード操作に合わせることができて、設定項目を暗記する数を減らせますし、なれた操作感で作業できます。
ですが一つだけおしい点があります。
キーボード使っている場合は 『 Ctrl+スペース』 で虫眼鏡ツールにしたあと、 Ctrl を押すのをやめるとスペースキーの一時的手のひらツールに切り替えることができます。
現状のTourBox NEOではこの一時虫眼鏡からの一時手のひらへの移行は Ctrl だけでなく一度スペースキーも押すのをやめてから再びスペースキーを押す必要があります。
メチャクチャ細かいところですし、TourBox NEOでは一時虫眼鏡使わずとも拡大縮小の動きをたのホイールなどに割り当てることもできるので、設定によってはまったく気にならないかもしれないです。
キーボード派でこの動作に慣れ親しんだ人はこの挙動に慣れるか別の割り当てをする必要ありです。
ぜんすけ
ちなみに僕は虫眼鏡機能のわりあてをマウスホイールに似た形のスクロールというヤツに設定しています。
出雲寺ぜんすけプリセット設定、大公開
さてではついに僕のTourBox NEOのプリセット設定を紹介したいと思います!
実際に使い始めたら他の人が具体的にどんな設定にしているのか気になりますよね。
今後入れ替えることもあるかもしれませんが現時点での僕のTourBox NEOのCLIP STUDIO PAINTプリセット設定状況です。
ちなみに元々Photoshopを使っていたこともあって、クリスタのデフォルトのショートカットからPhotoshopに寄せてしまっているところもあるかもしれないので、そのあたりはご自身の環境に合わせていただければと思います。
ノブ部分
スクロールの組み合わせは色々設定していますがそれほど使っていないかもです。
ダイアルにアンドゥリドゥの機能を入れてみました。そしてダイアルの円形の形状からカラーサークルをイメージできるかなということで色相彩度などの色調補正を割り当て。
メインボタン部分
Ctrl | サイド |
スペース | ショート |
Alt | トール |
Shift | トップ |
本当はキーボード配置に合わせて↑にようにしたかったのです。
なんですけど、自分の環境だとなぜかAltとSurfaceペンの組み合わせで設定していないctrlが発生しているのか、レイヤー複製のショートカットが実行されてしまうバグなのかなんなのか原因が不明な挙動があったんで、スポイトはペンのサイドボタンに任せて、TourBox NEOでは一時スポイトを使わないようにして使っています。
そのため使用頻度としてはAltよりもShiftのほうが多いので、押しやすいトールにShiftを割り当てているというわけです。
キットボタン部分
正直なところメインボタンとキットボタンは配置をおぼえるのに慣れが必要ではあります。
なので最初はtourボタンを「ガイドを開く/閉じる」に設定しておくとよいです。
これを設定していると2回押すと消せるのですぐにガイドを表示非表示できてTourBox NEOの設定を確認できるのですごく便利です。
これをしばらく使ってひととおり覚えたらこのボタンは[Ctrl+S]保存とかに変更するのもいいかと思います。
TourBox NEO クリスタ プリセット
上記設定画像を参考にしていただければ再現可能ですが以下のリンク先で支援者向けにデータファイル公開しているのでそれをインポートしていただくと楽に同じ作業環境を構築できると思います。
出雲寺ぜんすけの設定しているTourBoxのクリスタカスタムプリセットファイル
TourBox NEO 総評
左手デバイスで使いこなすのに大変なのがショートカットの配置をおぼえなくてはいけないというのがあります。
不可能かと思えた脱キーボードを実現できるTourBox NEOはまさに左手デバイスの最終兵器といえる至高の出来ではないかと思いました。
正直なところ他の人のレビューやなんかを目にしたときは「ふーん、そんな商品もあるんだね、宣伝乙」って感じで斜にかまえて、そっ閉じしてきていたんですけど(本当にすみません……)実際に使ってみて「え!? 何これマジもんの良デバイスやん」って思わされたというのが本音です。
TourBox NEO、こいつは今後も相棒としてイラスト制作で活躍してくれるデバイスだと思いました。
しいて困った点をあげるとしたら、あまりに左手デバイスとして最強すぎて今後このブログで左手デバイスをレビューすることなくなってしまうんでは? ってとこぐらいでしょうか
TourBox NEOをおすすめしない人
回転系操作を使わない人
ダイアル型などの回転系操作が必要ない場合はもう少し安価な左手デバイスもあると思うのでTourBox NEO以外の選択肢もあるかなと思います。
もしくはキーボードでのショートカット操作で満足していたりとか、タブレット環境などでタッチ操作などですでにうまく左手デバイスが必要ない状況にできている人とかでしょうか。
これからデジタルイラストを始める学生
これから始める学生の場合はそもそも左手デバイス以外にもPCやタブレットなど絵を描くデバイスを購入したりでただでさえ資金が必要だと思いますので、いきなり左手デバイスもそろえようと思って初めから金銭的なハードルをあげることもないかなと思います。
あくまでも効率的にするプラスαアイテムなので、なくてもデジタルイラスト自体は描くことできるます。
なので左手デバイスのためにアルバイトするぐらいならさっさと描き始めてしまったほうがいいかなと思います。
ぜんすけ
とはいえ、最初からTourBox NEOを使えれば、あとであらためて配置おぼえなおす手間がないので、実家が石油王なら最初から買ってもらったほうがいいんですけどね
TourBox NEOをオススメしたい人
複数のソフトを同じ操作でショートカットを扱いたい 人
Photoshopやクリスタなど複数のソフトを使っている場合にもそれぞれ用のショートカット設定を作成しておけば自動で切り替えてくれる機能があります。
複数のソフトを同じ操作でショートカットを扱いたい場合TourBox NEOは便利なのではないでしょうか。
ブラシのサイズや硬さの変更などをダイアルなど回転型で操作したい人
ブラシのサイズや硬さの変更など回転操作で感覚的に操作したい場合は最適なデバイスだと思います。
特に今までのダイアル型左手デバイスはあくまでキーボードでのショートカット操作が基本でしたが左手デバイスでの操作をメインで作業するとなるとTourBox NEOはかなり良いと思います。
ブラシのサイズや不透明度を絶妙にいじりたい人は特にいいですね。
ctrl+Zなどの作業の巻き戻しも回転具合で一気に戻したり進めたりできるのも面白いです。
TourBox NEOの商品仕様
サイズ | 116 X 101 X 44mm |
正味重量 | 370g |
外装材 | ABS+PC |
USBケーブル | USB 2.0 |
作動電圧 | 5V |
作動システム | MacOS 10.10 or higher |
購入後のカスタマイズや設定の注意点
間違えて設定したタグを消したい場合はプリセットリストのメニューハンバーガーアイコンから
ショートカットを把握しやすいようにタグという名前をつけるんですが、名前を変えたり消したりなど編集したくなると思います。
そんなときはTourBox consoleのプリセットリストにあるハンバーガーメニューからタグの編集を選択します。
設定の注意点 Delキーのようなのを押しやすいところに配置しない
Del キーは不要な箇所消したりなどで利用することがあるのでショートカットを設定したりしますよね。
しかし、押しやすいボタンにセットしていると作業内容をいつの間にか消して気が付かないままヒストリー消えるまで作業してしまう可能性があります。
そういった危ないショートカットキーは頻繫に押さないc1かc2ボタンとの組み合わせに設定しておくとかが良さそうです。
ぜんすけ
僕は最初よく使うボタンの組み合わせにセットしていたら、さっきまで描いてたレイヤーがいつの間にか消えていて涙目になるハメになったので同じ過ちをしないよう気を付けてください
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クリスタがPhotoshopのブラシ読み込めないころに作成したのでPhotoshop版とクリスタ版がありますが基本的に内容は同じものになります。
▼ブラシの詳細記事