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「絵がふつうに上手くなる本」【書評】

7 min
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こんにちは出雲寺ぜんすけ(‎@blankcoin)です。

5月22日発売のよー清水さんが執筆された「絵がふつうに上手くなる本」を献本いただきました。

この記事にたどり着いている時点で著者のよー清水さんの説明は不要だと思いますが、商業ゲームのコンセプトデザイン、設定画、背景などを中心に活躍されている人気のイラストレーターです。

そして「ファンタジー背景」描き方教室「キャラの背景」描き方教室などイラスト技法書のヒット作の著者でもある、よー清水先生の最新の著書「絵がふつうに上手くなる本

いったいどんな本なのかさっそく書評のほうしていきたいと思います!

「絵がふつうに上手くなる本」レビュー

よー清水 (著)

絵がふつうに上手くなる本 はじめの一歩×上手い絵の技術×安定して稼ぐ秘訣

出版社 : SBクリエイティブ (2021/5/22)
発売日 : 2021/5/22
単行本(ソフトカバー) : 376ページ

絵がふつうに上手くなる本もくじ

第1部 絵を描き始めたい


第1章 グリッド模写で絵を描く楽しさを知ろう
・丸い円をグリッド模写しよう
・グリッド模写でキャラクターを模写してみよう
・女の子の絵をグリッド模写しよう
・ グリッド複写で何が身につくか

第2章 デジタルの色塗りを試してみよう
・アナログかデジタルか
・スマートフォンのアプリを使って色を塗ってみよう
・スマートフォンでデジタルの塗りを体験しよう
・おすすめのデジタル環境

第2部 絵が上手くなりたい

第3章 上手い絵とは何か
・絵が上手くなるってどういうこと?
・絵が上達するために大切な八つのこと。
・ 絵を描く基本の手順を理解する

第4章 単純観察と分割観察 立体が表現できている絵 ①

・立体を描くことは面を描くこと
・描くための二つの観察
・単純観察と分割観察を組み合わせて描いてみる
・面を描けるようになるための5レベル訓練法: 箱・球体・円柱を描く
・デッサン練習の効果と必要性
・デッサン練習をしないとイラストは上手くならないのか?

第5章 資料の見方―立体が表現できている絵。
・資料を使うときにやってよいこととダメなこと
・どうやって資料を参考にするか?
・ 他人の作品を参考にすること。

第6章 共感 の作り方―伝えたいことが伝わる絵①
・人間は、共感で評価する
・二次創作は共感の塊
・共感のポイントはテーマからうまれる
・テーマは短文で考える
・テーママップでテーマを設定する

第7章 構図の決め方―伝えたいことが伝わる絵②

・構図とは、テーマを伝えるための手段
・キャンバスは縦長か? 横長か?
・上から撮るか? 下から撮るか?
・パースは奥行きを描きやすくする道具である

第8章 光を感じる絵

第3部 絵を仕事にしたい
第9章 イラストレーターになるまでに考えたいこと…
・イラストレーターに必要な四つの覚悟
・美大や専門学校への進学
・どのような就職先がおすすめか

第10章 フリーランスのイラストレーターとして生きる
・フリーランスとは何か
・イラストレーターの2種類の稼ぎ方
・知名度サイクルで人気を得る。
・高品質なウェブサイトで信頼性を高める始 品質のよさを伝える
・信頼感を高めるウェブサイト
・信頼感は稼ぐより損なわないようにするのが大切
・SNSでの暴露は自爆
・炎上を防ぐために気をつけること
・SNSから心を守ろう
・フリーランスになる前にする四つのこと
・駆け出しフリーランスの営業
・いつか役立つ仕事の小技集

「絵がふつうに上手くなる本」の本のサイズ

「絵がふつうに上手くなる本」の本のサイズ

普通の本だったらとくに本のサイズに言及したりしないのですが、この「絵がふつうに上手くなる本」は普通のイラスト技法書サイズではありません。

本のサイズは一般的なイラスト技法書よりも小さくビジネス書などのサイズ感。

絵がふつうに上手くなる本の厚み

しかし376ページもあるんで分厚いです。

そして本文も縦書き文章の本になります。

絵がふつうに上手くなる本は縦書き

初心者からプロまで幅広く対象

『はじめの一歩×上手い絵の技術×安定して稼ぐ秘訣』という本書「絵がふつうに上手くなる本」のサブタイトル、これがこの本の特徴を表現しています。

これから絵を始める人からすでに描いているけどもっとうまくなりたい人、そしてプロ志望またはすでにプロ向けということでかなり幅広い層を対象ににしている本ということです。

ぜんすけ

ぜんすけ

それゆえにあの本の厚みになるわけですね!

「絵がふつうに上手くなる本」第1部 絵を描き始めたい

第一部は初心者向けの内容で、これから絵を描き始める人がどうするかについて書かれています。

第1章グリッド模写

第1部は初心者の練習方法としてグリッド模写という方法を解説されています。

近年の書籍で似た方法としては『アニメ私塾流 最速でなんでも描けるようになるキャラ作画の技術』で補助線を使った模写の解説もありますが、そちらの本もとても評価の高い本なので模写の方法として鉄板な練習方法といえるでしょう。

他にも吉田誠治作品集&パース徹底テクニックでも模写の解説でグリッドを引くべしと書かれています。

ジョン・エノレサムは「イタリア式絵画技法」(1704年)のなかで,“手軽な装置”の作り方を次のように述べています。「約 17ィート四方の正方形の木枠を用意し,この上に糸を格子状に交差するように張り ,完全な正方形が少なくとも 12個以上できるようにする。この枠を目と対象の問におき ,この絡子を基準に,対象を画面に線写していくと,誤りを避けることができる。奥行きが短くなるものほど,格子の正方形を小さくすべきである。ダイアナ ・クレイグ編『芸術家たち のさまざま な知恵(1993年

脳の右側で描け p.96

▲このように絵の模写方法としては歴史もありつつ現代の現役クリエイターにも支持される手法。

この方法のポイントは枠や基準になる線があることで模写の位置ずれが認識しやすくなり調整できるというわけです。

脳の右側で描けでいわれるようなネガスペースを意識することで思い込みによる間違いを修正しやすくなるというのがポイントなのでしょう。

この「絵がふつうに上手くなる本」ではグリッドを使った模写方法についてページ数をちゃんと使って丁寧に解説してくれています。

「絵がふつうに上手くなる本」第2部 絵が上手くなりたい

第2部がある程度初歩を知っている人が絵が上手くなりたい人に向けたパートです。

第4章 単純観察と分割観察

単純観察と分割観察

単純観察と分割観察という手法の解説があり、この第二部のキモになる箇所かと思います。

世の中にある複雑な形状のものをどのように捉えて絵として表現するかということについて上記手法で解説しています。

5レベル訓練法

デッサンって必要なのっていうお約束の疑問がありますよね。

漫画のブルーピリオドでも海野さんという美術部員が顧問の先生に質問しています。

「つーか前から思ってたんすけど そもそもデッサンって必要なくないですか?」

「…あら なんで? 海野さん」

「ネットにはデッサンやったことがなくても上手い人なんていくらでもいますよ だいたい私が書きたいのは美少女で石膏像とかティッシュ箱じゃないんすよ」

ブルーピリオド1巻より

このデッサン必要なの問題に対する著者のよー清水さんの回答がこの章では書かれています。

そしてそれに対する著者の提案がここで紹介される箱・球体・円柱の基礎訓練による5レベル訓練法というわけです。

第5章 資料の見方

この章では他人の作品やネット上の写真には著作権があるので勝手に使って公開してはダメですよってことなどが丁寧に解説されています。

ぜんすけ

ぜんすけ

ちなみに僕の写真資料はみんなも使えるように上記サイトで公開しています

とはいえ、このようなロイヤリティフリー写真だけで参考資料をすべて賄えるはずもなく、色々と資料を参考にするわけですが、「絵がふつうに上手くなる本」ではその資料をどう見るかという「四つの見方」が解説されています。

資料の四つの見方
  1. 立体構造をつかむ
  2. ディテールを観察する
  3. 特徴をつかむ
  4. 他人の表現を解析する。
https://twitter.com/you629/status/1395202559355232257

第6章 共感 の作り方―伝えたいことが伝わる絵①

本書「絵がふつうに上手くなる本」でもこの章で解説されるテーママップとイメージマップはキーポイントになるところだと思います。

著者のよー清水さんの過去の著作「ファンタジー背景」描き方教室でも窓のデザイン方法としてマインドマップを活用した手法の解説がありましたが、本書では絵のテーマを作ることに使っています。

しかも単純に1つのマップでなくテーママップとイメージマップという2段階のマップによりテーマをイラストへと変換するという手法です。

共感されるような絵を描いてみたい、でも絵のテーマとか考えたことがないという人には必見の内容かと思います!

「絵がふつうに上手くなる本」第3部 絵を仕事にしたい

第3部はプロ志望、またはすでにプロに向けた内容になります。

第9章 イラストレーターになるまでに考えたいこと

美大や専門学校への進学

じつはこの項の内容については僕も最近このブログの記事で書いているテーマです。

なので、プロとして働いている人間からすると共通する見解のところも結構あるので「やっぱそうですよねー」と思いつつ、著者のよー清水さんがイラストレーターになるまでの学生時代の話なども書かれていて大変興味深いです。

ちなみにこの9章には、著者のよー清水さんの年収についてもさらっと書かれています

というわけで本書を読んだ人の感想ツイートをJOJOのジョセフ風に予言しましょう

ぜんすけ

ぜんすけ

次のお前のセリフは 『年収二度見した』 という!

第10章 フリーランスのイラストレーターとして生きる

10章はプロでも参考になる

著者のよー清水さんは『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている』というハロー効果について書かれた本でもそのお名前が出てくるほどブランディングに定評があります。

そんな、よー清水さんがこの「絵がふつうに上手くなる本」ではブランディングについて解説してくれています。

おそらく、前述した9章で著者のよー清水さんがご自身の年収について触れることも、年収自慢やマウンティングではなく、年収によるハロー効果を狙っているんだろということが推察されます。

実際に読んだ僕の印象としても、それによって本書全体の解説の説得力や信頼感が上がっていると感じました。

信頼感を高めるウェブサイト

ウェブサイトをどのようにするかで信頼感を高めるかということが書かれています。

すでにプロの人にとってはここが一番重要なところかもしれないです。

なんならブランディングが向上することで1件単価が上がるだけでも、この本代の1760円は元が取れてしまいますからね。

ちなみに僕のサイトはどうなのかって話ですが…

僕の場合、じつは今まさに見ていただいているこのブログが仕事を受けるウェブサイトも兼ねています。

本書「絵がふつうに上手くなる本」を読むと改善すべきことが多くて、どこから手をつけたものかという感じです。

とりあえずギャラリーページと仕事の問い合わせを別サイトとしてブログから分離させたりしてテコ入れしたほうがいいかな……などと読みながら色々と考えさせられました。

追記
読むだけでなく実行するのってなかなか大変なんですが、とりあえず本書を参考に実際にポートフォリオサイトを作って既存のGALLERYページと置き換えました。

本書で解説されているトップ画像の動画化などやれていないこともありますので今後ブラッシュアップはするかもです。

ちなみに僕はWordPressで作りました。サブディレクトリでブログとは別のWordPressテーマを使いました。

※さらに後日、PCで見たときのトップ画像の動画化も対応しました。自分で動画作ろう思うと手間ですが水のあるイラストを描いて水面のエフェクトWebサイトを使うという方法でやりました。

ちなみに「絵がふつうに上手くなる本」で紹介されているウェブサイト制作サービスがあるんですが、それを使っている絵師の方は実際結構いますね。

というのも僕は以前このブログで仕事募集中背景イラスト絵師まとめという記事を書きました。

そのときに作品のアドレスを表記するため一度にたくさんの絵師さんのサイトに訪れたんですが、「このサイト制作サービス結構使っている人多いんだなぁ」と思った記憶があります。

クリエイター専門の健康保険

この項目ではある程度稼げるようになったら文美国保がお得ですよ、という話が紹介されています。

これはネットで他のイラストレーターさんなども情報発信されているので目にする機会も多いと思いますが1つ見落としがちな重要な点が『ある程度稼げるようになったら』というところです。

地域によって国民健康保険の金額は変わるので一概に言えませんが、わりと普通のサラリーマンと同等以上に稼がないと得にならないケースがあったり、年会費が必要だったりするので駆け出しのフリーランスが慌ててやる必要はなかったりします。

たとえば脱サラしてフリーランスになるときのような、ただでさえバタついて忙しいタイミングで文美国保のことについて考えたり調べる必要はないです。

結構フリーランスとして軌道に乗ったなぁと思ったころ、思いだしたように本書の最後のほうのページを開けばいいかと思います。

「絵がふつうに上手くなる本」書評まとめ

  • 第1部 絵を描き始めたい人に向けて、『グリッド模写』やスマホでデジタル色塗りに挑戦する方法などについて解説。
  • 第2部  すでに描き始めている人がさらに絵が上手くなりたいという場合に向けて、『単純観察』と『分割観察』、『5レベル訓練法』、『資料の四つの見方』、『テーママップ』などの手法で解説。
  • 第3部  絵が上手くなるだけでなく絵を仕事にしたい人にむけて、美大や専門学校への進学について、信頼感を高めるウェブサイトの構築方法、SNS運用の注意点や向き合い方など様々なことを解説

7章の構図や8章の光についても大変重要かつ有益な箇所なので、この書評でも触れたいところだったんですが、すべての章に軽くふれるだけでも長くなりすぎるんで割愛しました。

かなり幅広い層に向けて書かれた本なので、どんな人が読んでもどこかしか参考になるパートがあるんじゃないでしょうか!

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